「大いなる力には大いなる責任が伴う」などsudoの初回実行時に出現するメッセージを導入したのは誰なのか?
多くのUnix系オペレーティングシステムにはユーザーが一時的にスーパーユーザー、いわゆる「root」の権限でコマンドを実行するためのパッケージである「sudo」が標準で付属しています。sudoの初回実行時にはいくつかの注意点を知らせるメッセージが出現しますが、このメッセージの作者について質問サイト「Stack Exchange」上で有識者が回答しています。
history - When was the famous "sudo warning" introduced? Under what background? By whom? - Retrocomputing Stack Exchange
https://retrocomputing.stackexchange.com/questions/12521/when-was-the-famous-sudo-warning-introduced-under-what-background-by-whom
A Brief History of Sudo | Sudo
https://www.sudo.ws/about/history/
sudoの初回実行時に表示されるメッセージは以下の通り。括弧内の翻訳は編集部によるものです。
We trust you have received the usual lecture from the local System Administrator. It usually boils down to these three things:
(皆さんは、システム管理者から一般的な講義を受けていると思います。通常、それは次の3点に要約されます)
#1) Respect the privacy of others.
(他人のプライバシーを尊重すること)
#2) Think before you type.
(入力前に考えること)
#3) With great power comes great responsibility.
(大いなる力には大いなる責任が伴う)
2025年現在も使用されているsudoのバージョン管理システムで確認できる範囲では、1993年6月に3つの注意点のうち2つが追加されています。当該コミットの作成者は2025年現在もsudoを保守管理しているトッド・C・ミラー氏となっているものの、すでに作成されていたソースコードをバージョン管理システムに追加しただけであり、ミラー氏は作者ではないとのこと。
ソースコードの履歴が確認できないためはっきりと作者が確定できるわけではありませんが、sudoの歴史をたどると1980年ごろにsudoを開発したボブ・コッゲシャル氏もしくは1980年代にコロラド大学ボルダー校のコンピュータ施設のマネージャーを務めたエヴィ・ネメス氏のどちらかがメッセージを作成した可能性が高いとみられています。
メッセージが作成された意図や背景は不明なものの、当時学術システムにログインする際にはsudoのものと同様のメッセージが表示される場合が多かったとのこと。
3つの注意点のうち、3番目の「大いなる力には大いなる責任が伴う」についてはまず2002年6月にRed Hatのsudoパッケージにパッチとして追加され、2004年1月に元のsudoリポジトリに追記されたとのこと。コミットメッセージはスパイダーマンのベン・パーカーの発言の引用であることを示していますが、「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という言葉については似ている言葉が紀元前ごろから多数存在しており、スパイダーマンがオリジナルというわけではないそうです。
なお、sudoのメッセージは標準では初回実行時のみ表示されるようになっていますが、毎回表示させたい場合はsudoの設定ファイルである「/etc/sudoers」において「lecture = "always"」と記述すれば良いとのことです。
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