【独自】渦中の森喜朗氏、宙に浮いた「胸像」の引き取り手

石川県知事に「電撃面会」

五輪疑獄で最注目

東京五輪の汚職事件は、KADOKAWA会長の角川歴彦氏の逮捕劇をもって収束するのか。組織委員会の理事で電通の元役員・高橋治之容疑者は、スポンサー選定を巡って特定の業者に便宜を図り、賄賂を受け取った受託収賄容疑で逮捕された。

今回の事件に絡んで、いま最も注目されているのが、数度にわたって東京地検特捜部の取り調べも受けている森喜朗元首相の動向だ。

AOKIホールディングスとの贈収賄事件では、前会長の青木拡憲容疑者が「高橋容疑者から森氏を紹介され、がん治療のお見舞いとして200万円を渡した」と供述している。

出版大手・KADOKAWAの事件では、高橋容疑者とKADOKAWA幹部の会食に、当時組織委会長であった森氏が同席していたこともわかってきた。

「特捜部はすでに3度、森氏から事情を聞いている。高橋容疑者を理事にするというのは、そもそも森氏が言いだしたことだが、一部の反対を押し切って森氏がゴリ押しした。高橋容疑者が逮捕された以上、森氏がなんらかの形で関与していることは濃厚に疑われる。KADOKAWAの事件ではなぜ、1つのスポンサー選定それもゴールドスポンサーなどランクがそう高くないところに森氏が同席するのか。AOKIの事件なら、お見舞いの相場としては破格の200万円という高額のカネを持って行った理由など、引っかかる点は多数ある」

こう打ち明けるのは捜査関係者だ。これを裏付けるように、組織委の関係者もこう証言する。

「2014年2月末に森氏が組織委会長だったときに、会長室で行われた会議があります。ここで理事メンバーの選定が議論されましたが、森氏から『マーケティングや広告、PRなどについて、高橋治之さんを』という話がありました。

しかし、その時点ではまだ電通はオフィシャルの広告代理店に正式決定していなかったことから、武藤事務総長が難色を示したそうです。だが最後は森氏の意向が通り、高橋容疑者が理事に選任されました」

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森氏が高橋容疑者を理事に推薦し、椅子を用意したとなれば、特捜部が事情を聞くのも当然だろう。

さて疑惑の渦中にいる森氏に、もう一つの「難題」が浮上している。「森氏の胸像」問題である。9月7日の朝日新聞は、

《東京五輪・パラリンピック組織委員会などの会長をつとめた森喜朗元首相の功績をたたえるため、政財界人の15人が発起人になり、胸像制作の募金活動が行われている》

と報じたが、週刊現代も9月3日、《森喜朗先生 顕彰胸像建立事業について》という今年5月の案内文を入手している。そこでは、森氏の政界、スポーツ界での功績を絶賛。コロナ禍で東京オリンピック・パラリンピックを招致・開催した実績を賞賛し、1961年に制定されたスポーツ振興法が、50年後の2011年にスポーツ基本法へと全面改正されたことは森氏のおかげといわんばかりの内容が続く。そして、

 

《このほど発起人の発案により、先生の胸像を建立し先生のスポーツ界における偉大な功績を顕彰しようということになり、そのための募金を行うことになりました。先生が残された多くの功績、そのお教えは、スポーツ界のみにとどまりません。多くの方々から尊敬され慕われている先生の顕彰事業を行う》

と記されている。

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