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敵のrebのレビュー・感想・評価

(2025年製作の映画)
3.3
20年前に妻を亡くし、東京の山の手の一軒家でひとり暮らしをする77歳の元大学教授の儀助は、慎ましく規則正しい生活を送っている。
家に時々やって来る教え子の靖子。
バーで出会った仏文学専攻の女子大生歩美。そしてパソコンに届いた「敵がやって来る」というメール。

12年ぶりの映画出演だという長塚京三さんが、実に知的で素晴らしかった。
朝ごはんからしっかり手を抜かず、コーヒーは必ず手動ミルで挽いてから入れる。
預貯金と残りの寿命を計算しながら、ひとりでささやかに人生を謳歌する姿は、悠々自適で実に羨ましい。

来るべき老いや死という、ある意味“敵“に備えて暮らしていた儀助だったが、やがて幻想と現実の境が曖昧になってしまい、ついには“敵“の襲撃を受ける。

原作者の筒井康隆氏は映画化にあたり、吉田大八監督に、儀助は認知症ではなく“夢と妄想“の人だとアドバイスしたという。
是非原作も読んでみたい。
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人の心の闇を追求したホラーが大好物。 好きな監督はハネケ、トリアー、クローネンバーグ。