音便 単語

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音便とは、日本語に起きる現象の一つである。

概要

日本語において、音節が別の音に変化すること。大別して、イ音便、ウ音便、促音便、撥音便の4つがある。動詞連用形に顕著だが、音便は語中語末において起こり、語頭には起こらない。

音便の問題点はいくつかある。

1.どのように起こったか。

音便の起こった原因については諸説あるが、はっきりとしない。一応、*-CV>*-Vとなった結果とされているが、それでも説明のつかない変化も多く、*-CV>*-C'V>*-C'>-V'と見做した方が良いのではないかと言った考えもある。また、語によっては二つの音便形が現れるものもあり、特にハ行四段活用において、近畿方言と東方言(例:買うて⇔買って)で異なる反映となっており、これらがなぜ違うのかも不明である。

2.音便の起こっていない単語と起こっている単語では何が違うのか。

音便の古い例では、櫂(かい)(<掻き、掻く)などがある。その他、語中語尾において、音便形の見える語は中央語、方言問わず多くあるが、そうでない語例えば「巻(まき)」がなぜ「*まい」となっていないのかといった問題である。また、音便は四段活用の連用形に起こり、なぜ同音である上二段活用の連用形(例:起きる、起きて)に起こらなかったのか、といった問題もある。

イ音便

音がイの音となるものをす。

  • 立(つたち)→一日(つたち)
  • 埼玉(さきたま)→さいたま
  • 次手(つぎて)→ついで

カ行四段活用(カ行五段活用)、ガ行四段活用(ガ行五段活用)の連用形+テ形、タ形で起こるほか、形容詞の連体形でも起こった。

  • て→書
  • 咲きて→咲いて
  • 割きて→割いて
  • 泣きて→泣いて
  • 剥ぎて→剥いで
  • 急ぎて→急いで
  • 高き(山)→高い(山)
  • 美しき(女)→美しい(女)

なお、方言古文体においては、サ行四段活用(サ行五段活用)でも起きる例がある。

ウ音便

音がウの音となるものをす。近畿方言のハ行四段活用(ハ行五段活用)では、標準語で促音便となるものがウ音便となるのが普通である。また、同様に標準語の敬語体及び、近畿方言における形容詞の連用形でもウ音便となる例がある。

  • 言ひて→言うて(→ゆーて)
  • く→はやう(→はよう)

一部の形容詞連用形は標準語でも一般化している。

  • く→お
  • 有難く→有難う
  • おめでたく→おめでとう
  • 辛くして→辛うじて
  • よくこそ→ようこそ
  • 全くする→全うする

促音便

「ッ」となる音のことを促音便という。タ行四段活用、ハ行四段活用、ラ行四段活用の連用形+テ形、タ形に見られる。

  • 立ちて→立って
  • 買ひて→買って
  • 貼りて→貼って

例外として、「行く」はカ行四段活用だが、促音便化する。

  • 行きて→行って

撥音便

「ン」の音となるものを撥音便という。ナ行変格活用、マ行四段活用は連用形+テ形、タ形で撥音便となる。

  • 噛みて→噛んで
  • 死にて→死んで

また、名詞でも見られる。

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