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H.265は動画圧縮規格の一つである。HEVC (High Efficiency Video Coding)とも呼ばれる。
概要
動画圧縮規格「H.264」の後継規格として生み出されたコーデックである。ITU(国際電気通信連合)においては2013年1月28日付けで正式に承認されており、ITU側はこのH.265が「次の10年をサポートする規格」としている。
今までのH.264よりもさらに高画質で動画サイズを大幅に減らせることから、動画トラフィックの緩和につながり、携帯端末への動画配信がより容易に行えるようになるものとして期待されている。
企画段階当初は、名前は後継規格としつつも内容は新規の符号化方式として予定されていた。しかし議論と時期を経るうちにいつの間にか完全新規ではなくなってしまい、結局H.264の発展型(H.264+)という方向性へと傾いている。
従来よりもさらに高画質となる8K[1]をサポートし、MPEG-2と比較して4倍、H.264と比較しても2倍の圧縮率を実現しており、これにより、H.264と比較した場合、同等の画質を約半分のビットレートで実現できるようになった[2]。
しかし、Wikipedia(英語版)では「計算複雑性の増加と引き換えにビットレートを半減できる見込み」とあるため、低ビットレートとサイズ小型化の不利益は全てエンコード時間あるいは再生負荷、あるいは両方へと回されるのではないかと思われる。→H.264の「再生負荷問題」を参照。
現在
次世代のコーデック規格として期待されていたH.265ではあるが、現在なかなか普及には至っていない。
H.265のパテントプール(特許権利団体)が乱立しており、特許関連で折り合いがつかず、このコーデックを使用するには様々な特許料を支払わされる上に手続きが煩雑であるということが、最も敬遠される理由だとされている。 [3]
また、GoogleやNetflixなどの世界の大手企業が共同で設立した団体が開発した、VP8やVP9の後継にあたるコーデック「AV1」が2018年に公開されて以降、多くの企業がAV1へと流れていき、現在もっとも進展が著しいのはAV1の方となっている(当該記事を参照)。
特徴
対応状況
プレイヤーやデコーダー、動画を配信している企業[4]もあり、有志ユーザでもARM向けソースやFFmpeg向けバイナリを公開しているところもあるらしい。アメリカではモトローラがセットトップボックスのサンプルを発表している。
日本国内での状況は、NHKと三菱電機が共同開発により符号化装置を開発、NTTドコモではH.265のデコーダソフト提供を開始しており[5]、NECでは(複数の企業と共同開発した)技術が最終案に採用されたことを報告している。
ニコニコ動画では、2014年夏頃から対応する模様。エコノミー画質においてHEVCへ変換をし、順次HEVC対応動画を増やす予定。なお、HEVC動画を再生するには対応端末が必要。また、ニコニコ生放送では「H.265/HEVC」の技術の適用実験を2014年11月20日から開始した。なお、投稿された動画に対してのエンコードには対応しているものの、H.265でエンコードされた動画の投稿はまだ未対応なので注意。(2015年9月18日 現在)
また、2015年2月18日から、公式生放送の『ニコラジ』を使っての大規模なH.265配信実験が9回分行われる。専用のスマートフォンアプリを用いて行われ、3月1日放送分まで実験が行われた。
関連動画
関連商品
関連リンク
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- 関連ソフトウェア
関連項目
脚注
- *8,192×4,320(17:9)及び7,680×4,320(16:9)。別名スーパーハイビジョン。
- *圧縮率が高まったのはあくまでも映像ビットレートである。音声ビットレートまで半分にできるわけではない。
- *沈むH.265、グーグル動画仕様AV1が主役へ アップル採用で加速か (日経クロステック 2019.09.05)
- *ロシア:Elecard、中国:Strongene、アメリカ:Rovi / DivX, LLC。
- *申込が必要、かつ契約書への記入と対価が必要となる。
- *H.265動画の拡張子は、Elecard製のものについては「.265」や「.ts」となっている。
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