爾雅とは、漢代に成立されたとされる辞書である。現在に伝わるものとしては中国最古の辞書。十三経の一つ。
概要
「尚書」や「詩経」などの経籍に現れる語の意味・解釈をまとめた辞書である。だれがいつ頃編纂したのかは不明である。周代に周公が編纂したとか、孔子、子夏らが増補したとかという説もあったが、現在では漢代に、それまでの積み重ねられてきた語の解釈をまとめて成立し、また順次語を増やしていったものとされる。
「爾雅」では、19篇からなり語を意味によって分類し並べている。各篇の名は「釈○○」となっていて、たとえば、「釈木」であれば木の名前、「釈親」であれば親兄弟の呼び方がまとめてある。「漢書・芸文志」には、20篇とあるがこれは釈詁を上下篇に分けて数えるためらしい。
名前の由来
爾雅という名前の由来については分かっていないが、「爾」は近づく、「雅」は正しいと解釈すべきではないかとされている。
各篇
- 釈詁
- 動詞を中心にまとめられた篇で、この篇が爾雅でもっとも初期に作られた篇とされる。
- 釈言
- 動詞を中心にまとめられた篇で、釈詁から漏れた語を集めて作られた篇とされる。
- 釈訓
- 畳語を中心にまとめられた篇。
- 釈親
- 親兄弟・親戚の呼び方をまとめた篇。
- 釈宮
- 建物に関する語についてまとめた篇。
- 釈器
- 器物に関する語についてまとめた篇。
- 釈楽
- 音楽、楽器に関する語についてまとめた篇。
- 釈天
- 気象・天文・暦に関する語についてまとめた篇。
- 釈地
- 地理に関する語についてまとめた篇。
- 釈丘
- 丘に関する語についてまとめた篇。
- 釈山
- 山に関する語についてまとめた篇。
- 釈水
- 河川に関する語についてまとめた篇。
- 釈草
- 草などについてまとめた篇。
- 釈木
- 木などについてまとめた篇。
- 釈蟲
- 昆虫などについてまとめた篇。
- 釈魚
- 魚についてまとめた篇。
- 釈鳥
- 鳥についてまとめた篇。
- 釈獸
- 野生の動物についてまとめた篇。シカ、ネズミなど。
- 釈畜
- 家畜となる動物についてまとめた篇。ウマ・ウシなど。
爾雅をもとにした書
爾雅を増補したものとして、「小爾雅」、「広雅」がある。
関連項目
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