仕事が忙しくて新しいことに挑戦できない、子育てに追われて自分の時間がない……「時間」に悩む人への特効薬がある。経営者、コンサルタント、著述家、講演家と一人何役も軽々とこなし、難関の国家資格も取得。そんな時間管理の達人が教える「時間リッチ」になるヒント。今回は「忙しくてまったく余裕がない」人へ。日経ビジネス人文庫『やりたいことを全部やる!時間術』(臼井由妃著)から抜粋・再構成してお届けする。
多忙な時期に資格試験の勉強スタート
行政書士、宅地建物取引士(宅建)。
私は、これらの資格を、会社経営と並行して取得しました。
その私の経験から1つ、皆さんにとっておきのことをお教えしましょう。
忙しいときに勉強をすると、心のゆとりが生まれます。
え、逆じゃない?
忙しいときに資格試験の勉強を始めるなんて、それこそさらに時間に追われる生活になって、心のゆとりがなくなるんじゃない?
実は私も、かつてはそう思っていました。
でも違ったのです。
ゆとりがなくなるどころか、精神的にすごく安心できるようになるのです。
なぜか生まれた心のゆとり
私が初めて国家試験に挑戦したのは、経営者としての業務が猛烈に忙しいときでした。
毎日仕事に追われ、試験勉強のために時間をつくることなんて絶対に無理だとあきらめかけていました。
勉強はしたいけれど、時間がないからできないと、半ば投げやりになっていました。
でも、「時間がないからできないなんていっていては、いつまでたってもできないぞ」と頭を切り替え、思い切って資格の勉強を始めてみたのです。
するとどうなったか。
自分でもわかるくらい、心にゆとりが生まれました。
時間を支配する立場になれる
そんなこと信じられない、という人のためにタネ明かしをしましょう。
なぜ心にゆとりが生まれるのか?
それは勉強する=自分のやりたいことに時間を使うことによって、“時間に支配される立場から、時間を支配する立場に変わる”からです。
人は誰でも毎日、仕事や家庭で忙しくしていると、知らず知らずのうちに、自分のための時間が削られていくものです。
たとえ「仕事が楽しい」「責任はあって大変だけど充実している」という人でも、自分のための時間がなくなるにつれ、少しずつ心に余裕がなくなり、ストレスに押しつぶされていきます。
そんな忙しい人に、私は勉強をするようにすすめています。
自分のために費やす時間
勉強をする時間というのは、自分のために費やす時間です。
そして「自分のために時間を使っている」という事実は、「私は時間の奴隷にはなっていない。私が時間を支配している」という気持ちを生み、忙しさの中で失いかけている心の余裕を取り戻すことができるのです。
忙しい中で勉強を始めると、余計に忙しくなって余裕がなくなるというのは大きな誤解です。
どんなに時間に追われていようとも、自分が本当にやりたいことをやることが、精神的なゆとりを生むことにつながるのです。
いくら待っても時間は増えない
ところで、多くの方は何かをするときにまず「そのための時間をつくらなければ」と考えます。
これがそもそも大きな誤解です。
この発想がある限り、いつまでたっても何もできないのです。
仕事の予定が詰まっていたり、退社後や休日も人に会わなければいけなかったりするような毎日が続いていると、新しいことを始める時間などないと感じるのが普通です。
でも実は、人が何かを始めようとして、時間がそれを否定することは決してありません。
「いつか時間がとれたら」「自由になる自分の時間があったら」
こう考えていくら待っていても、時間は増えません。
そのうちに手をつけよう、いつか始めようと先延ばしにしていたら、永遠にやれないままなのです。
先延ばしは寿命を縮める
私たちが手にすることができるのは、現在ある時間だけです。
「いつまでも、あると思うな時間と命」
時間も命も絶対的な期限があるから、今できることはさっさとすませる。
やりたいことは積極的にやってしまう。
これが時間リッチになるための鉄則です。
先延ばしにする人は、自分の時間をドンドン減らし、命を縮めているのと同じです。
10万部突破のベストセラー。経営者、コンサルタント、著述家、講演家と一人何役も軽々とこなし複数の国家資格も取得。そんな時間管理の達人が教える「時間リッチ」のヒント集。会議は「1発言1分」が基本、イヤなことは朝イチに……時間と心とお金に余裕ができる!
臼井由妃著/日本経済新聞出版/880円(税込み)