交論 自衛隊の災害派遣 大災害が頻発し、被災地支援で存在感を増す自衛隊。その役割に期待が高まる一方、能登半島地震では初動をめぐり「逐次投入」との批判も出ました。今回の動きをどう評価するのか。能登半島を管轄する陸上自衛隊中部方面隊の元トップ、岸川公彦さんに聞きました。 ――能登半島地震での自衛隊の初動は、2016年の熊本地震などの震災対応と比較されました。熊本地震で現地指揮官を務めた経験からどう見ていますか。 「今回の能登半島地震は、いくつかの点で熊本地震とは前提条件が全く違います。熊本県には陸上自衛隊西部方面隊の司令部や実働部隊としての第8師団などが所在し、元々6千人ほどの人員がいます。被害の大きかった益城町のすぐ近くに部隊がいて、発災から数時間で現場に入ることができました」 「熊本では被災自治体の側も情報発信がそれなりにできていて、自衛隊としてもどこの被害が大きいかなど状況をある程度把握