『洗えば使える泥名言』(西原理恵子/文藝春秋) 個人の考え方や生き方を、シミひとつないような正論で徹底的に叩きのめす様がSNS上などでよく見受けられる。もちろん、不愉快に思うことはなるべく正していきたい。ただ、昨今のモラルに対する過剰な圧は閉鎖的な価値観を生み出しているようにも感じられる。 例えば、去年から度々ワイドショーを賑わす不倫問題。確かに、不倫は愛を誓った相手への裏切り行為。しかし、不倫=悪と糾弾する人は、「もしかしたら自分も不倫をしてしまうかも」と想像することはないのだろうか? 何が起こるか分からないのが人生。「私が不倫なんてするわけない!」と突っぱねるのではなく、今後の人生のためにスキャンダルを反面教師として、事の次第を見守り、良し悪しだけではない、別の角度から考えるべきではないのか。 西原理恵子によるきれいごと一切なしの名言集『洗えば使える泥名言』(文藝春秋)は、昨今の閉鎖的
