仕事の事情で、三年間ほどとある地方都市で働かなければいけなくなった。 そのことを親に告げたら、「あそこにはいとこのA子ちゃんが住んでいるから世話になったらいい」と言われた。 いとこのA子は俺より年上で、子供の頃はよく一緒に遊んでいた。 だがそれは幼き頃の話で、お互い大学で都会に出ていってからは、正月や法事やお盆なんかに親戚が集まった時 に話をするくらいの仲だ。 A子は優しくて元気なお姉ちゃんで、話も合うし、全く悪い印象はなかったので、アパートはどの辺がいいかとか、その辺のことを聞いてみようかなとは思っていたが、 暇な母親がぶしつけにもA子に電話をして、今度俺がそっちの町で住むことになったとベラベラ喋った挙句、気が付いたら、A子のマンションに一緒に住む流れになっていた。 ちょっと待て、一応お互い未婚の男女が一つ屋根の下ってまずいだろうと俺は主張したが、母は、「A子ちゃんだから 大丈夫でしょ」