チュニジアからエジプト、イエメン、バーレーン、シリアそしてリビアへと中東・北アフリカ各地に広がる民主化運動の波。その主役たる反政府運動家たちの理論的支柱となっている一人の米国人の存在が注目を集めている。独裁政権に挑む「戦略的非暴力論」で知られ、ノーベル平和賞の候補にも名前が挙がっているマサチューセッツ大学名誉教授のジーン・シャープ博士(83歳)だ。その理論は、単なる非抵抗主義ではなく、独裁政権のなりたちを細部まで分析し、打倒に向けた戦略を具体的に示している点に大きな特徴がある。「非暴力のマキャベリ」「非暴力的戦争論のクラウゼヴィッツ」と称される稀代の理論家に、アラブ世界を席巻する民主化運動の行方、そして共産党一党独裁を続ける中国や北朝鮮と向かい合う日本へのアドバイスを聞く。ビンラディン後のアラブそして世界情勢の行方を読み解くヒントがここにある。 (聞き手/ジャーナリスト 瀧口範子 ※本稿は
