年末に発表される米タイム誌恒例の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」、今年はバラク・オバマが選ばれた。順当な人選だろう。そういえば去年はロシアのプーチンだった。 元KGBのスパイで、2000年に大統領に就任すると、天然ガスや石油の価格高騰を追い風に、一時は債務不履行で崩壊しかけた同国を世界第5位の経済大国にまで成長させた。その一方で、政敵を追い落とし、民主化を後退させ、批判者の口を遠慮なく封じる非情な権力者という面も併せ持つ。 08年3月に行われた大統領選では、国民からの圧倒的な支持に、「最長2選まで、という憲法規定を変更し、3選目指して出馬か」という憶測も流れたが、結局、後進メドヴェージェフに座を譲り、自身は首相という地位に収まった。 本書は、そのメドヴェージェフ大統領とプーチン首相が形成する支配体制を「タンデム(※縦並びの二頭の馬)型デモクラシー」と名づけ、その行方を占うものだ。 プーチンは