この業界に長い人に話を聞くと、雑誌を含めた出版物の市場はここしばらく“2兆円産業”という言われ方をしてきたらしい。いちばん威勢のよかったのは90年代の半ばで、その頃には2兆5千億だか、6千億円だかまで出版市場は拡大した。しかし、それ以降は坂道をゆっくりと下り続けている。“長期低落傾向”というやつだ。その出版市場が今年はついに売上高で2兆円の大台を割る可能性があるらしい。月刊誌、週刊誌の落ち込みが大きいが、一般書籍も程度の差こそあれ同様の傾向を示している。 ■日本の出版売上高の推移(出版科学研究所) このカーブが意味するところは単純だ。出版業界はもう十分に成熟産業だということである。市場は伸びず、過当競争で業界全体の収益性はよく見ても頭打ちどころの話じゃない。これからはそれこそ時間をかけてどんどんもうからない産業になっていく。巷の書店は増え続ける刊行書籍をところせましと並べて、今も多くの消費