多くのミュージシャンを取材してきた。 編集長になってから20年。ずっと取材を続けてきた人もいる。しかし逆に、まったく逢わなくなってしまう人たちのほうが遥かに多い。昔、毎月のように会って、リリースのたびに取材して、ライヴに行って、時には酒を呑んだり、プライベートを深く知るようになった人ですら、時と共に疎遠になっていく。 50歳を過ぎたあたりから、無性にその人たちに逢いたくなった。編集者としての終活なのか、最後まで活動を支えきれなかった贖罪なのか、自分でもよくわからないが、売れた売れない関係なく、編集者としての自分に何らかの影響を与えた人と、今、話をしたかった。 今回は、もう10年近く活動を休止しているレミオロメン、前田啓介に会いに行った。 (これは『音楽と人』8月号に掲載された記事です) 5月中旬。中央線特急に乗り、山梨へ。 山梨は東京から意外に近い。彼らの取材で、何度も通った。その時の無邪