コンピュテーショナルフォトグラフィと呼ばれる技術分野に注目が集まっている。従来のカメラの撮像過程を変更し、シーンの単なるスナップショット画像以上の情報をイメージセンサーで取り込み、デジタル信号処理と組み合わせることで、従来のカメラでは不可能な「写真」を撮影しようという試みだ。本稿では、この分野の重要な一角を占め、撮影後の写真のピント変更を可能にするなど、多様な応用が期待できるライトフィールドの概念を用いた技術について説明する。 撮像過程の変革 カメラの機能の多くは、デジタル化が実現されても、依然としてアナログカメラのアナロジーであり続けている。すなわち、シーンから入射する光をカメラのレンズによって屈折/集光し、2次元の画像として記録するという撮像の本質は変わっていない(図1)。画素数を増やすだけでは製品の差異化が難しくなってきた昨今、カメラメーカー各社は、差異化の別の軸として、デジタル画像