先週は、アメリカ金融界が上を下への大混乱であった。私の感想は 1.すごい瞬発力 2.アメリカの金融コミュニティは心臓に毛が生えている 3月11日火曜から16日日曜にかけてはくるくるとめまぐるしく状況が変化(ここが瞬発力)、16日以降は、その変化のさらに裏をかこうとする人たちの躍進(ここが心臓に毛)が目立ったのでした。 1.まず瞬発力の一週間 こちらのWall Street Journalの記事によくまとまっています。さすがWSJですな。要約するとこんな感じ。 11日火曜:投資銀行への政府緊急融資2千億ドル(20兆円)を決定。これで一息、と思いきや、サブプライムでヤバイ橋をたくさん渡った全米第五位の投資銀行、Bear Stearnsの信用不安が広がる (でも、Bear Stearns側は、「割とよかった今期の業績」の発表間近、と結構うきうきしており、信用不安の噂はBearの株をショートしてい
2008.03.25 SEC、XBRL データの決算情報サービス カテゴリ:カブロボ SEC、XBRL データの決算情報サービスを開始! を読む。 2月15日、SEC(米証券取引委員会)の Cox 委員長は、公開企業の決算報告を素早く手軽に分析する支援サイト「ファイナンシャル エクスプローラー」を SEC の Web サイトに掲載したと発表した。 XBRL(eXtensible Business Reporting Language)で SEC に届出された企業財務情報で、チャートや図表を使った企業業績のパフォーマンスを描き出すというのだ。 SEC がそこまでやってしまうところがおもしろい。 もちろん「ファイナンシャル エクスプローラー」には、初心者向けのガイダンス ページも用意されている。特別なキャリアのない人でも、財務諸表の数値情報から財務指標やグラフやチャートを難なく作り出せる。 と
今年の米国大統領選挙については誰が勝つのか皆目見当が付かないといえば付かないのだが、結論から言うとオバマかな。 自分が思いつくことを率直に語ってみると、民主党からはヒラリーが出るかなとなんとなく思っていた。過去エントリ的には「極東ブログ: 米国次期大統領選挙運動、雑感」(参照)。近況、米国時間で4日付けのテキサス、オハイオ、ロードアイランド、バーモントの4州の予備選だが、代議員数の多いテキサスとオハイオでヒラリーが勝ったとのこと。おばはんにもまだ勝ち目があるかもしれないのだが。 民主党がヒラリーを出せば共和党にも目が出るな。とするとジュリアーニかな、となんとなく思っていたら、マケインかよ。だめだこりゃ感があり、エントリ冒頭に戻る。 ただし、もう4年前のエントリだけど「極東ブログ: オクトーバー・サプライズ(October surprise)」(参照)みたいな話がこれからなんかありそうにも思
2008年2月12日 田中 宇 記事の無料メール配信 アメリカ大統領選挙は、二大政党の予備選挙が進み、共和党はジョン・マケインへの一本化が進み、民主党はバラク・オバマとヒラリー・クリントンの接戦が続いている。次期大統領はマケイン、クリントン、オバマのいずれかになる可能性が大きい。 民主党では、全般的に見て、オバマが草の根の支持、クリントンがエスタブリッシュメント(政財界)の支持を集めてきた。2人は、政策内容にはそれほどの違いがないが、オバマは黒人が集まるアメリカ南部のキリスト教会の礼拝での説教師の手法を会得し、聴衆に希望を持たせる前向きなキーワードのリズミカルな繰り返しによって、演説を聞いた人々を感動に引き込み、支持を広げている。オバマに比べてクリントンは演説が下手だが、夫のビル・クリントン前大統領の政権に関与して以来の国家政策立案の経験を宣伝し、オバマを空想屋だと批判して対抗している。(
2008年2月6日 田中 宇 記事の無料メール配信 アメリカのブッシュ政権は2月4日、来年度(今年10月から来年9月まで)の米連邦政府の予算を発表した。その内容は、ブッシュ政権が「隠れ多極主義」の戦略を採っていると、改めて私に感じさせるものだった。 私が感じているブッシュ政権の「隠れ多極主義」は、軍事・政治・経済というアメリカの覇権(世界支配)のすべての面に及んでいる。このうち経済面は、米政府の財政を浪費によって意図的に破綻させ、アメリカの経済覇権のシステムの中心であるドルの基軸通貨の地位を喪失させ、アメリカを世界経済の中心から外し、世界を通貨や消費地の多極状態へと誘導する戦略である。 常識的に考えると、自国を破滅させたい政府が存在するはずがないので、米政権が多極主義を採るはずがない。「田中宇は頭がおかしい」と思っている人は多い。しかし歴史的に見ると、ベトナム戦争による財政浪費の後始末で金
もっともらしいタイトルをつけたが、実はワタシもよく知らんのだ。 ワタシが読んでる狭い範囲では、本日 Free Culture についての「最後の講演」を行う(つーことは、今年 iSummit 2008 で来日しても講演しないのか)ローレンス・レッシグ、デイヴ・ワイナー、あと xkcd あたりがバラク・オバマ支持である。もっともレッシグはオバマの以前からの友人らしいけど。 TechCrunch はオバマとマケインを推薦している。 そういえばビル・クリントンがオバマを激しく攻撃していることについて、デイヴ・ワイナーは Huffington Post に Bill Clinton as Trent Lott 2.0 という激しい批判を寄稿している。 もちろん米ブログ界がオバマ支持で固まってるなんてことはないわけで、誰かまとめ Wiki でも作らんかな。需要ないか。 [追記]:danah boyd
明日はついにSuper Duper Tuesday。24の州が同時に予備選を行う、上を下への大騒動の日。ここ数日、テレビは候補者のCMで満載。共和党の富豪候補、Romneyは、一日$1 million宣伝広告に使ってるという噂。 さて、で、共和党では、今のところMcCainがトップ、ちょっと離れてMitt Romneyという感じになっている。で、この二人の争いは「どちらがよりconservativeか」ということなんですな。「私は保守的!」と叫ぶことが選挙にプラスというのは変な気もするのだが、しかし、アメリカの「保守」は日本人がイメージする「保守」とは全然違うのであった。 「なるべく何もしないのが良い政府。産業界に干渉せず、税金はなるべく少なく。産業保護・育成なんてとんでもない。」 というのがアメリカの保守の王道。 日本だと、なんとなく自民党=保守、というイメージで、自民党と言えば、国家介
10年以上前に、米国商務省(DOC: Department of Commerce)配下の特許庁(USPTO)に大きな変化が起きた。特許庁の経営は自分で稼いだ金で賄うこと、という施策が打ち出されたことによる。 以来、USPTOは忠実にその言いつけに従ってビジネスを展開してきている。特許庁の収入は、出願と特許登録の手数料と登録特許の保守費(年金)で成り立っている。 従って、手数料収入を増やすためには、出願数を増やすことが一つの策となる。その数を増やすためには、特許が取得できる分野を広げることが有効な手立ての一つとなる。ソフトウエア特許とビジネスメソッド特許という、うさんくさい分野に特許を広げたのはそのひとつである。もちろんこの分野にまで特許が取れるようにしたのは、アメリカの強い分野を強化するという国策とも合致していた。 もう一つの収入源拡大は、いうまでもなく、特許登録の数を増やすことである。
先週3月3日(06年)に、01年から足掛け6年争われてきた、カナダのRIM社とアメリカのNTP社の特許侵害係争は、RIMが612.5M米ドル(邦貨換算約670億円)をNTPに支払うことで、最終的に結着した。 この結果は、私には驚きである。なぜならば、その前の週2月23日には、米国特許庁から、再審査してきたNTPパテントに対して、「Final Office Action」が出され、9項あるクレームの全てが拒絶(rejection)されたからである。 しかし、その翌日24日にバージニア州リッチモンド(Richmond)の裁判所で行われたヒアリングで地方裁のスペンサー判事(U.S. District Judge James Spencer)に、「俺が仲裁した和解案に同意しないなら、米国内でのブラックベリーの販売とサービスを差止め(injunction)するぞ」とRIMは脅かされたらしい。 RIM
事実を知らなければ飯の食い上げになる、という事実について、もっとも無関心な民族を数え挙げれば、日本人は多分、南太平洋の島々の人々に次いで、世界でのトップスリーに入るだろう。 この無邪気さは、天性のものもあるのかも知れぬが、文化的には、1615年大坂夏の陣が終ってからの、240年ばかりの天下泰平の世で育ってしまった後天的なDNAであろう。1853年の黒船で目を覚ましたはずなのだが、その覚醒も長く続かず、100年前の日露戦争で見かけ上勝利を収めてからは、このDNAがぶり返して今に至っている。 例えば特許の世界を例に取れば、アメリカに毎年6万件もの特許を出願(Patent Applications)している事実を挙げることができる。特許を出願するということは、遊びではなく、特許という権利を取ろうとしているのだろう。権利を取るということは、一種の戦いであり、金を貢げば得られるというものでは無いはず
今はどうなっているのか、気にもしていないので分からないが、ひところ、アメリカの広告の打ち出し方の一つとして、競争相手との比較を露骨に示して、いかに当社の製品が優れているかを示すやり方があった。慎み(つつしみ)深くあれ、という日本文化の中で育った日本人の一人として、私にはそのような広告宣伝は、「エゲツナイことするなあー」というのが感想であった。 日本の特許明細書をはじめ、日本人が書く文書がなぜ分かり難いのかを考えていて、ふと、このアメリカの広告戦法を思い出したわけだ。彼らが書く特許仕様書も、結局は、俺の発明は他のそれ(先行技術)と比べていかに優れているかの表明であり、自分の陣地(発明)の縄張りの宣言書であるとみなすことができるし、そうみなすべきであろう。 その主張を有効にするために、先行技術を含め、周りの環境がどうなっているのか、よくよく説明し、自分の主張の正当性の裏づけとする。彼らが丁寧に
米Microsoftは11月第3週,「Windows XP」の起動時間を短縮する技術に関する特許侵害訴訟で,提訴から1年かかって勝利した。これは,米Acceleration Software International(ASI)が,1999年成立の自社特許をWindows XPに侵害されたと訴えたもの。Microsoftは最大9億ドルの支払いを命じられる恐れがあった。 ところが,テキサス州の裁判所の陪審団はMicrosoftによる特許侵害を認めなかった。さらに陪審団は,該当特許の内容が「当たり前」(まさにその通りだ)で,成立した1999年時点で存在していた技術であることを理由に,無効とまで判断した。 そのうえ裁判を担当した米連邦地方裁判所は,「ASIが問題の特許を出願した際,既存技術に関する情報を不当に隠していた」というMicrosoftの主張を審理している。これは予想外の展開だ。
米国Intelの法務担当エグゼクティブ・バイスプレジデント、ブルース・スウェル氏は10月22日、ワシントンD.C.で開催された特許改革フォーラムにおいて「米国のIT業界はここ数年“特許投機家”から多数の訴訟を起こされている。議会は、現行の特許制度の問題点を早急に修正すべきだ」と語った。 スウェル氏によると、米国のITベンダーは過去21カ月間で193件の特許侵害訴訟を起こされ、そのうち70%が特許投機家、つまり「ベンダーを訴える目的で特許を買い取るグループ」が原告だったとのことだ。対照的に、この期間に製薬会社が特許侵害訴訟の被告となったケースは28件にすぎず、しかも24件は競合企業同士で争われたという。 同フォーラムにおいてスウェル氏は、“パテント・トロール”と呼ばれる特許投機家の問題を解決するため、特許訴訟制度の改革が急務だと語った。現在、米上院で審議が中断されている特許改革法案は、正当な
ars technicaの「Massive patent reform bill passes House committee」という記事によれば、米国の特許法の先願主義への変更が決まったそうだ。 特許法は、日本とヨーロッパが採用してきた「先願主義」と、米国が採用してきた「先発明主義」の二つが混在していたために、世界に向けたビジネスをする企業を悩ませて来たが、その問題にようやく決着がつくことになる。 一見すると「特許手続きをしようがしまいが、権利は先に発明したもの」という「先発明主義」の方がフェアに思えるのだが、紛争になったときに「誰が先に発明したのか」を調べる手間が尋常ではない。それに対して、「権利は先に特許手続きをした人のもの」という「先願主義」の方が、紛争になったときの手続きがはるかに簡単になる、という利点がある。 「2100年までには、人口の半分が弁護士になる」とジョークがさやや
米国特許レポート(4)MedImmune v. Genetech---ライセンシが特許無効を訴えることは可能か 前川有希子が斬る 第4回は,米MedImmune, Inc.と米Genentech, Inc.の係争を取り上げる(最高裁の資料)。ライセンシ(ライセンスを受ける側)がライセンス料を支払いながら特許無効の訴えを起こすことが可能かどうか,という点で注目を集めた事例だ。 医薬品メーカーであるMedImmuneは同業のGenentechから申請中特許を含む複数の特許のライセンスを受けていた。このうち契約後に発効したある特許について,Genentechは特許そのものが無効であると判断した。しかし,契約に違反してライセンス料を支払わなかった場合,Genentechから特許侵害を訴えられて故意侵害の損害賠償を負う可能性があるので,問題の特許に対してもライセンス料は支払っていた。リスクを避けるた
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