「パラダイス鎖国」の弊害 第二の原因は、国内競争に特化していることだ。日本の総合電機メーカーは、会社の規模は大きいが、個々の部門は大きくない。例えば、携帯電話の最大手、フィンランドのノキアは昨年、約3億5000万台の端末を生産したが、日本のメーカー11社を合計しても1億台に満たない。 国内市場がそれなりに大きく、日本語の壁に守られた「パラダイス鎖国」(アスキー新書)で中規模の企業が共存して世界市場に出て行かないため、国際競争力がないのだ。特に通信/コンピューターは、日本メーカーを全部合わせても世界市場のシェアが数%という壊滅状態だ。 IT産業では、ムーアの法則によって設備は急速に陳腐化するから、常に最新技術を導入し、優秀な技術者を投入しないと競争についていけない。特に優秀な技術者の数は限られているので、その戦力をいろいろな部門に分散すると、すべての戦線で負けてしまう。 資本の論理による再編