住基ネットについて、最高裁は合憲判決を出した。今回の判決でもっとも重要なのは、最高裁がプライバシー権を否定したことだ。くわしいことは論文に書いたが、プライバシー権とは、他人の表現をコントロールする権利であり、表現の自由を侵害する権利である。もしこれが認められたら、たとえば政治家のスキャンダルを暴く記事に対して、彼は「私の名前(個人情報)を削除しろ」と求める権利をもつことになる。 厳重に秘密を守っている住基ネットがプライバシー権の侵害だとしたら、私の名前を入力しただけで98万件も個人情報が出てくるグーグルは、明らかにプライバシー権を侵害している。私がグーグルに対して「私の名前をいっさい表示するな」と訴訟を起したら、勝てるだろう。ウェブには、膨大な個人情報があふれている。それを規制することは不可能であるばかりでなく、表現の自由を定める憲法に違反する。(*) しかも個人情報保護法では、新聞な