日本のメーカーが世界のDRAM(Dynamic Random Access Memory)市場を席巻していたころ、知り合いになった半導体技術者から、知っていますか?とたずねられたことがある。なぜ日本のメーカーはメモリーチップ(memory chips)では圧倒的勝利を収めても、マイクロプロセサ(micro-processor)ではインテル(Intel)やAMDに遠く及ばないのか、そのわけを知っていますか、ということだ。答えは、日本のメーカーはマイクロプロセサの仕様書が書けないからだ、であった。彼の話によると、仮にDRAMの設計仕様書が100ページで収まるとすれば、マイクロプロセサのそれはその10倍も20倍も、すなわち千ページも二千ページもの仕様書になるとのことだった。 この話を実証する能力は私にはないが、およその察しはつく。メモリーチップの命は書き込みと読み出しの速度である。極めて単純な仕