母は高校教師だった。 母は24歳のときに妊娠し、仕事をやめ、25歳で出産した。 それが私。 弟と妹も生まれた。 一番下がうまれたとき、母は31歳だった。 今の私と同じ年齢である。 母はいつも穏やかで、今に至るまでずっと「良い母親」だ。 幼い時、母が私を抱きしめてくれるたびに、私の幸せは母の幸せだと感じていた。 私も高校教師になった。 働きはじめはとにかく忙殺されており、朝6時~夜22時まで働いていた。 休日は部活のために朝8時~夕方18時半まで学校にいた。 一校目では吹奏楽顧問だったので運動部よりも拘束時間が長かった。 大変だった。でも、体力はあったし、仕事は楽しかった。 授業もしっかりやった。生徒からもちゃんと信頼された。 恋人もいた。忙しいからこそ、ノンストップで動き続けていた。 何より、自分で働いて得たお金を自分のために好きに使うことができることを楽しんでいた。 ある日洗面所で鏡をみ
