今年は終戦から70周年を迎える。太平洋戦争を知っている世代が年々少なくなる一方で、今年は節目の年ということもあり、戦勝国が対日戦勝利を祝う式典等を予定している。また、あの戦争をテーマにした映画やドラマの放映、出版物の刊行なども相次ぎ、我われ日本人にとって例年に増して「終戦」を意識せざるを得ない年となる。この連載では、これまで昭和史の中で「8月15日」という1日で語られがちであった「終戦」について、戦勝国、交戦国などの視座も交えて、その知られざる一面を取り上げていくものである。連載を通して、日本が対外的に今も直面している多くの問題の根源が「終戦」にあるということが理解できるであろう。今回は、玉音放送前後に敗戦を認めたくない一部の将校が宮城で起こしたクーデターについて取り上げる。 日本の敗色が濃くなっていた1945年8月6日に、広島へ原爆が投下された。9日にはソ連の対日参戦および長崎へ2発目の