先日、アンジェイ・ワイダ監督の「カティンの森」という映画を見た。第二次世界大戦勃発時にナチスドイツとスターリンのソ連に引き裂かれたポーランドの悲劇を描いた作品である。この映画を今の日本の政治状況に重ね合わせるのは、作者に対する冒涜かもしれない。しかし、二つの、邪悪とは言わないまでも、巨大な権力の狭間で翻弄されている日本の民主政治とワイダの描くポーランドが、私には二重写しに見えた。日本の民主政治は昨年の政権交代によってようやく本格的に動き出した。その矢先に、「どっちもどっち」という二つの権力の闘争に巻き込まれて、民主政治が立ちすくんでいる。 通常国会開幕直前に、石川知裕衆議院議員など小沢一郎幹事長の関係者が逮捕されたことで、政治論議は必然的に資金問題をめぐる小沢と検察の戦いに集中することとなった。政権交代による日本政治の変革、政策の転換に期待を託していた人々にとっては、これは困ったとしか言い