生きものたちは、晩年をどう生き、どのようにこの世を去るのだろう──。 土の中から地上に出たものの羽化できなかったセミ、大回遊の末に丼にたどり着いたシラスなど生きものたちの奮闘と哀切を描いた『生き物の死にざま はかない命の物語』から、カタツムリの章を抜粋する。 【写真】カタツムリは普段は見えないところに ■臆病でなければ生きていけないカタツムリ 性格とは、どのようにして決まるのだろう。 もちろん、遺伝による先天的なものもある。後天的に置かれた環境や取り巻く人たちによる影響も受ける。 自分という存在が、どのように形づくられているのか? 本当に不思議である。 カタツムリは臆病な生き物である。 もっとも、カタツムリは臆病でなければ生きてゆくことはできない。カタツムリの天敵は鳥である。 カタツムリは、おせじにも逃げ足が速いとは言えない。空から襲ってくる鳥から身を守るには、つねに葉の裏に隠れ、危険を