介護業界最大手コムスンの事業売却問題の道筋が、ようやく付けられた。当初の一括譲渡方針から転換して、訪問介護など在宅系は都道府県ごとに分割して各県1社に譲渡、有料老人ホームなど居住系は1社に譲渡されることになった。 この方針転換にほくそ笑んでいるのが、居酒屋大手ワタミの渡辺美樹社長。一括譲渡では大手のニチイ学館に及ばないとみられたが、今回のスキームでは居住系譲渡先の最有力候補だ。ワタミは2005年、有料老人ホームを展開する「アールの介護」を買収して介護事業に参入した。売上高30億円弱の会社を70億円強で買収したことから高値づかみと揶揄されたが、今では主力の外食がパッとしないワタミグループの収益を底支えしている。機関投資家の間では、早ければ3年後には外食の利益水準を抜くと目されている。 ところが介護業界では、外食仕込みの渡辺社長の「手法」にはとかく批判が多い。ワタミの買収後、「アールの介護」の