わが国において「コミュニタリアニズム」という政治思想は、最小国家を説く「リバタリアニズム」や市場(万能)主義を唱える「ネオリベラリズム」と比べると、十分に知られていないか、誤解され批判的に語られることがまだまだ多い。本書は、このような無理解をただすために、「コミュニタリアニズム」の全体像と影響力を一般向けにわかりやすく解説している。 「コミュニタリアニズム」とは何か? 著者自身が簡明にまとめてくれている。 1980年代の北米で、当時のリベラリズムやリバタリアニズムが個人の自由や権利をあまりにも重視しすぎるために、個人が自己決定で加わるのではない、個人に与えられた家族や地域社会などのコミュニティが解体していく傾向が強まることを批判する政治哲学が登場してきました。 それは、一言でいえばアリストテレス哲学に基づく「共通善の政治学」です。つまり、人間のつながりや共通性を強調し、コミュニティにおける