cakesは2022年8月31日に終了いたしました。 10年間の長きにわたり、ご愛読ありがとうございました。 2022年9月1日
バルト『モードの体系』: 体系そのものの記述は途中で終わっており、静的な記述と事例に依存。でも試みは今も興味深い。, 2011/5/31 中身は各種陰謀論やインチキ科学の網羅的紹介だが翻訳が最悪, 2011/5/13 しょせん、彼女の理論が果てしない言い換えに過ぎないだけだとわかる本。, 2011/4/26 丁寧に足跡をたどるのはいいんだが、そこから何が見えてきたかというまとめが皆無。, 2011/4/18 実物より優れているかもしれない。, 2011/4/7 いい本です。本文はネットでフリーで読めます。, 2011/3/12 バルト『モードの体系』: 体系そのものの記述は途中で終わっており、静的な記述と事例に依存。でも試みは今も興味深い。, 2011/5/31 モードの体系――その言語表現による記号学的分析 作者:ロラン・バルトみすず書房Amazon 試みはおもしろい。本書には暗黙の前提
蕭瑜『毛沢東の青春』:若き日の毛沢東の数少ないまとまった第三者の記述, 2010/6/10 モシャー他『地球温暖化スキャンダル』:元データすら必死で隠蔽する「気候科学」って? クライメートゲート事件の全貌を描く好著, 2010/6/2 小田実『毛沢東』:日本の左翼知識人のうろたえぶりだけが伝わってくる一冊。, 2010/5/17 クリステヴァ『中国の女たち』:文化大革命翼賛文書, 2010/5/16 竹内『毛沢東』:支離滅裂で大躍進の意味すら理解できていない悲惨な本, 2010/5/15 藤子不二雄A『劇画毛沢東伝』:毛はヒーローとして美化されすぎているが、それ以外はかなりきちんとしていて有益。, 2010/5/11 金『毛沢東伝』:都合の悪いことはすべて歪曲抹消され、あまりに偏っている。訳者の解説も変。, 2010/5/7 山口『リスクの正体』:リスクという考え方を中心にしたよいエッセイ
ぼくは無精なんで、なかなか電子媒体になじめない面がある。会社では、経費削減のため今世紀に入ってから一貫してどんどん資料を処分させられていて、昔は本棚1本もらえていたのが、半減、さらに半減とどんどん減らされ、いまやロッカー一つ。その分資料電子化すればいい、という方針なんだけど、本棚の資料はたまになんかのはずみで見るけど、電子化した資料ってよほどピンポイントで自分の求めるものがわかってないと、そもそもファイルを開くこと自体がない。PDFのOCR機能が進歩して少しはよくなったけど…… 多くの人は本の自炊とかを自慢したがるけれど、自炊したことに満足してそれを本当に使ってるのかな、とときどき思う。もちろん、ある特定分野だけにしぼった専門性を持っている人は、それですむどころか、かえって便利になる面もあるんだろう。ほとんどのトピックではある決まった資料群のペーパートレイルみたいなもんがあるのかもしれない
予想通りひどい本だった。山形さんがしばし待たせてから、懇切に書いてくれていた。 編者の議論がとにかく変。支離滅裂に「誤読」して俺様が〜と吠える人こそが、人文社会学の存在意義を疑わしめる原因となっている。社会悪なので、きちんと指摘しないといけない。...
しばらく間が空いた。で、反知性主義についての簡単なお勉強を経て、ぼくが手に取ったのは『日本の反知性主義』だった。 この本の題名は、明らかに『アメリカの反知性主義』を意識しているようだ。その一方で、この面子を見ると、ぼくが冒頭に挙げた『現代思想』の執筆者と重なるようであり、「反知性主義」を「バーカ」の意味で使う連中の集団のようにも思える。で、どうなのよ? それがぼくの興味だった。が、その前に…… 「反知性主義」をちがう意味で使ってはいけないの? まず、そもそも「反知性主義」を「バーカ」の意味で使ってはいかんのか? ぼくはそうは思っていない。ぜんぜん構わないと思う。ただ、その場合にはホフスタッターとかを引き合いに出してはいけない。まるで意味がちがうからだ。 なぜか? ホフスタッターの本は、名著とはいえ決してだれでも知っているメジャーな本ではない。ぼくはたまたま、漠然とホフスタッター的な意味合い
ついでにちょっとやった「孫たちの経済的可能性」。あちこちに納められているけどネット上であってもいいと思ったので。 ケインズ「孫たちの経済的可能性」(pdf 75kb) https://genpaku.org/keynes/misc/keynesfuture.pdf 内容は有名といえば有名だが「ケインズは百年後には一日3時間労働になると言った」というふうな紹介のされかたしかしないのは、ちょっとかわいそう。もっと気楽な放言(そしてそれゆえになかなかおもしろい洞察がある)ですよ。 まとめると—— いま(第一次大戦後で大恐慌時代)は経済的にはひどい状況にある。でも長期的に見れば、経済は17世紀末から急激な成長をとげてきた。これは、急激な技術革新と、資産/資本の蓄積があったから可能になった。イギリスの資本は3.25パーセント成長を続けている。これがもっと続けば、経済はまちがいなくずっと豊かになる。す
反知性主義はちょっと疲れたのでお休みして、思いつきの書き殴り。 ザ・セカンド・マシン・エイジ 作者: エリック・ブリニョルフソン(Erik Brynjolfsson),アンドリュー・マカフィー(Andrew McAfee),村井章子出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2015/07/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 現在、半ば義務的にぶにょぶにょそんたちの『第二機械時代』を読んでいる。書評はまたきちんと書くけれど、ぼくはこれを手に取ったとき、おそらく多くの人と同じように、これが『機械との競争』の続編だと思ってたのね。 機械との競争 作者: エリクブリニョルフソン,アンドリューマカフィー出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2013/08/12メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る ぼくの『機械との競争』感想文はこちらだけれど、ここで書いたよう
おちゃらけ (承前) まずは少しおちゃらけから。 前回の反知性主義話を書いた直後に、斉藤環が次のようなツイートをした。 あ〜また誤解する人が出てきたので注釈しときますとですね、僕が「反知性主義」と呼んでいるのは「バカ」の上品な言い換えとかじゃなくて、「地アタマだけは良い連中の実学志向&人文知軽視」のことですんで誤解なきよう。— 斎藤環 3.15発売「まんが やってみたくなるオープンダイアローグ 」 (医学書院) (@pentaxxx) August 21, 2015 さて、8月21日にこのツイートが出てきて、しかもその中で「僕が「反知性主義」と呼んでいるのは「バカ」の上品な言い換えとかじゃなく」と述べているのは、おそらくぼくの前回 (8月20日)の記述を意識したものだと思う。そうであるにせよないにせよ、ぼくはこういう参照先を明記しないでほのめかしで済ませるやり方は、とても低級な知的堕落だと
はじめに 反知性主義をめぐる本を3冊読んだので、その話をちょっと書こう。なぜそんなものを読もうと思ったかというと、『現代思想』の「反知性主義特集」に対するアマゾンのレビューがぼくのツイッターでちょっと話題になっていたからだ。 「彼らは反知性主義だ」と規定する知性は知性主義的なのか? ぼくはこの特集を読んでいないし、読むつもりもない。が、このレビューの主張はよくわかると同時に、この特集のスタンスについて疑問が湧いてきた。 というのも、このレビューを信じるなら、この特集での「反知性主義」というのは、「自分とちがう考え」のことらしく(たとえば原発推進とか安部政権評価とか)、そしてそれを「反知性主義」と呼ぶのは、要するに「バーカ」というのをご立派に言い換えているだけらしいからだ。 さて、まずぼくはこの手の言い換えが嫌いだ。ぼくはしばしば、バカをバカとはっきり言うので、性格が悪いとか下品とか言われる
友だちリクエストの返事が来ない午後 作者: 小田嶋隆出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2015/04/28メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (6件) を見る 小田嶋隆は、かつて別冊宝島なんかでもよく書いてたことからもわかる通り、ちょっとひねくれた偏狭な視点をもって極論の放言でウケを取りつつ、たまにそのひねた偏狭な視点が、世間的に声の大きい議論の歪みや盲点をうまく突くことがあるので重宝されていたライターではある。その点で、かれは内田樹と同じ種類の物書きだ。内田も、街場とかおじさんとか、本来はあまりシャープな視点を持っていないと思われている立場が、逆説的に鋭いつっこみを入れられるというのを売りにして出てきた。 この手の物書きは、自分がひねた視点のマイナーな存在であり、基本的には底の浅い放言をしているという立場をわきまえていればおもしろい。道化みたいなもんですな。でも、
700ページ以上の大作、さらに経済専門書にも関わらず、世界各国で100万部以上を売り上げた『21世紀の資本』。現在、空前の「ピケティーブーム」だ。なぜ、こんなにも注目が集まっているのか。そして、ピケティはいったい『21世紀の資本』で何を語っているのか。訳者・山形浩生と、経済学者の飯田泰之が語る。紀伊國屋ホールで行われた「ピケティ『21世紀の資本』刊行記念 山形浩生×飯田泰之トークショー 訳者解説プラス」より抄録。(構成/山本菜々子) 飯田 本日は、『21世紀の資本』訳者・山形浩生さんにお話を伺います。ピケティ大流行ですね! 米国では50万部売れたそうですが、現在、日本ではどのくらい売れているのですか。 山形 7刷か8刷で、13万部売れていると聞いています。 飯田 単価を考えると今世紀でいちばん売り上げた経済専門書になるのではないでしょうか。 山形 そうですよね。僕のところに翻訳しろという
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 2/24号 [ピケティ狂騒曲] 出版社/メーカー: CCCメディアハウス発売日: 2015/02/17メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る ニュースウィークがピケティ特集。ぼくも寄稿している。各国の翻訳者に、それぞれの国でなぜピケティが流行ったかをきく、という企画だときいていたけど、実際には英訳者と朝鮮語訳者と日本語訳者しか原稿を書かなかった模様。これは残念。ま、原稿料二万円なら仕方ないか。 でも何より残念なのは、この特集にうかがえる当事者意識のなさ。「ピケティ狂騒曲:ブームの賞味期限」と題して、あの本が「格差是正に向けた議論を深めるか、それとも軽薄なブームで終わるか」と表紙にある。 しかしですねえ。それが軽薄なブームで終わるかどうかは、あんたらみたいな雑誌やメディアがそれをどう扱うか次第、でもあるでしょう。「格差
21世紀の資本 作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森本正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (107件) を見る ピケティがらみの話で、そろそろデータを見た人が反論を始めている。そして、日本の状況はちがう、日本はまれに見る平等社会、日本は格差が開いていないどころかかえって狭まっている、よってピケティなんかダメ、という議論をしている。 さて、ピケティを盲信して格差、格差、この世の終わりだ資本主義の宿痾だ革命だマルクス様の復活だついでにアベノミクス許さんとさわぐのはたいへん愚かで恥ずかしいことなので、やめていただきたいところ。金持ち儲かるんだろ、知ってたぜ、常識だフン、どうせオレたち貧乏人はいくら頑張ってもダメなのよ、ついでにアベノミクス許さん、とかいった間抜けな発言は、ツイッターくらいにとどめておいてほしい。 その意味
ピケティ『21世紀の資本』 訳者解説 (v.1.1) 2015.1.23-2.1 山形浩生 [email protected]it.edu この資料はクリエイティブコモンズ Attribution-ShareAlike 4.0 国際ライセンス下で公開されています. 今日の構成 • 1. 『21世紀の資本』とピケティのえらさ • 2. あらすじ: r > g から格差拡大へ • 3. 格差是正の処方箋は? • 4. ピケティ本の受容・誤解・批判 • 5. 日本への示唆とは? • 6. 落ち穂拾い 2 まずはじめに…… • ピケティの本と、ピケティの他の論文での記述と、 ピケティがインタビュー等での発言とは、分けて 考えよう! – 本がいちばんストイック。たぶん意図的に書いていな い話もかなりある。 – 前二つは、それなりにきちんと考えてまとめたものだ けど、インタビューは(特に日本のことなんかは
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