旧日本海軍(大日本帝国海軍)の艦艇を鉛筆で細密に描き、その作品を神社に奉納する活動を続けている人がいる。奉納先の神社は、艦内に守護神を祭っていた「艦内神社」の分霊元だ。海に眠る艦艇の「遺影」のつもりで在りし日の姿を描き、参拝者らに対し「誇りを持って戦った英霊に思いをはせ、日本の歴史を再考するきっかけとなれば」と願う。 モノクロにこだわり大阪市在住の鉛筆艦船画家、菅野泰紀(すがのひろゆき)さん(42)は軍艦の絵ばかり描く子供だった。旧陸軍の軍人だった祖父から従軍体験をたくさん聞かされた影響が大きい。考古学者を目指したこともあったが、家業の不動産賃貸業を継ぎ、物件のパース(透視図)を描くようになったのがきっかけで再び描くようになった。 鉛筆画を選んだ理由は「モノクロの方がカラー以上に情景や心情をくみとれるように感じる」から。「広島市内の小学校に通い、授業で原爆投下直後のモノクロ写真を見せられた
