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2016年の日本はさまざまな矛盾が露出した1年だった。そのキーワードはなにか。コラムニスト・オバタカズユキ氏が考察する。 * * * 2016年はどんな年だったのだろう。個人的には「死」を意識する出来事が重なる年だったが、「今年の漢字」は「金」、「新語・流行語大賞」は「神ってる」が選ばれた。 なぜ「金」なのか。「今年の漢字」は公募でもっとも票が集まったものをそれとするシステムだが、「金」を選んだ応募者の理由には、リオ五輪の日本人の「金」メダル獲得ラッシュ、前都知事の政治資金問題、東京五輪の巨額経費問題などが多く、ピコ太郎の「金」色の衣装からこの漢字を推した人もいるという。 一方の「神ってる」は、広島東洋カープの緒方孝市監督が鈴木誠也選手の好調ぶりに対してそう口にしたところから、若者を中心に流行語になった、と新聞か何かで読んだ。この大賞については「え?」と思った。プロ野球に興味がなく、若者
40代に突入した就職氷河期世代は10年後、「親と共倒れ」の世界に直面しそうです。その親世代の貧困はすでに先行しています。生活保護受給世帯だけでなく、生活保護を受けてもおかしくない「高齢貧困層」がじわじわと増えています。「NPO法人ほっとプラス」代表理事の藤田孝典さんが報告します。 厚生労働省が発表した「生活保護の被保護者調査」(2016年3月分)によると、生活保護受給世帯に占める65歳以上の高齢者世帯の割合は、今年初めて5割を超え、50.8%になりました。 受給世帯数は163万5393世帯で過去最多。受給者実数は216万4154人です。高齢者だけか、高齢者と18歳未満の子どもで暮らすいわゆる「高齢者世帯」が、全体の半数を超える82万6656世帯。高齢者世帯の半数超えは、1950年の生活保護制度スタート以来初めてです。このうち約9割は1人暮らし世帯でした。 高齢貧困層は今後さらに増える
埼玉県深谷市を流れる利根川で昨年11月、両親を溺死させたとして殺人と自殺幇助(ほうじょ)の罪で起訴された三女、波方敦子被告(47)=同市稲荷町北=に、さいたま地裁は6月23日、懲役4年の実刑判決を言い渡した。母は認知症、一家を養ってきた父も病気に倒れ、生活保護を申請しながら一家心中の道を選んだ3人家族。「死んじゃうよ」「ごめんね」-。生き残った娘は、法廷で心中に至る様子を生々しく語った。(さいたま総局 菅野真沙美) ■「あっちゃん、ごめんな」 波方被告が心中を決行したのは昨年11月21日。いつものように、認知症とパーキンソン病を患った母=当時(81)=を軽乗用車の助手席に、父=同(74)=を後部座席に乗せてドライブに出かけた。 昼ごろ、かねて自殺場所として考えていた利根川に下見に行き、暗くなるまでの時間つぶしを兼ねて群馬県内のダムに車を走らせた。ダムでの心中は車ごと飛び込める場所がな
高齢者の貧困が問題になっている。内閣府調査の<世帯の高齢期への経済的備え>で、60〜64歳で貯蓄が「十分だと思う」と答えた人は3.6%。「かなり足りないと思う」と答えた人はその10倍、35.5%だった。 「老後の貧困は、ひとごとではないのです」 そう警鐘を鳴らすのは、生活困窮者支援のNPO法人「ほっとプラス」の代表理事で社会福祉士の藤田孝典さんだ。6月半ばに出版した新刊『下流老人』(朝日新書)で、「このままだと高齢者の9割が貧困化し、貧困に苦しむ若者も増える」と書く。 藤田さんは貧困高齢者を下流老人と名付けた。普通に暮らすことができず下流の生活を強いられる老人という意味で、日本社会の実情を伝える造語だという。 「年収が400万円の人でも、将来、生活保護レベルの生活になる恐れがあります」(藤田さん) 実際に生活保護を受給する高齢者は増加中で、今年3月時点で65歳以上の78万6634
家から出ることなく、年を重ねた息子や娘。「この子を残して死ねない」「自分で生活保護を申請できないのでは」など親の悩みは尽きない。引きこもりの人の高齢化が社会問題となる中、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんは、子の住まいや生活資金を早めに手当てする「サバイバルプラン」を提唱する。 ◆40歳が一つの目安 畠中さんが提唱するサバイバルプランとは、親が持つ住宅や預貯金などをフル活用し、親亡き後も引きこもりの息子や娘が平均寿命程度まで食べていけるプランを模索しておくこと。 最後のセーフティーネットとして生活保護があるが、畠中さんは「家から出ないのに、親が亡くなったときに機動的に生活保護の申請に行けるか。プライドを高く保つことで自分を守っている子がケースワーカーとうまくつき合っていけるか」と指摘する。 電気・ガス・水道などの契約や料金を引き落とす口座の名義変更を子が自分で手続きするのも難
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