体のさまざまな組織になるiPS細胞とES細胞から、大きさが最大で4ミリほどのヒトの脳の組織を作り出すことに、イギリスなどの研究グループが成功しました。複雑な構造をもつヒトの脳の組織が出来たのは世界で初めてで、研究グループでは、脳の病気の解明などに役立つとしています。 イギリスとオーストリアの研究グループは、さまざまな組織になるヒトのiPS細胞とES細胞を、それぞれ神経の元となる細胞に変化させたあと、ゼリー状の物質の中に入れ4日間、培養しました。そして、別の容器に移して培養液と一緒にゆっくりとかき混ぜる作業を続けたところ、それぞれ脳の組織が形づくられ2か月後には、最大で4ミリほどの大きさにまで成長したということです。 出来た脳の組織は、ヒトの大脳皮質のように神経細胞の層が重なり、記憶をつかさどる海馬の細胞や目の網膜の組織も含まれていました。また、研究グループでは、脳が生まれつき小さい「小頭症
人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使ってブタの膝関節を再生する実験に東京大医学部付属病院の研究チームが世界で初めて成功したことが15日、分かった。膝関節の軟骨がすり減る「変形性膝関節症」の治療への応用が期待される。京都大iPS細胞研究所と連携し、15年後の実用化を目指す。 実験に成功したのは東大病院の星和人特任准教授(軟骨再生医療)と高戸毅教授(外科学)らのチーム。 実験では、生後約6カ月のブタ数匹の右後ろ足の膝関節を約4分の1切除。ブタやヒトの皮膚などから作製したiPS細胞に、細胞の修復機能を早める働きがある特殊なコラーゲンや、実際の骨の成分と類似した「ベータ型リン酸三カルシウム」などを混ぜて切除部分に移植すると、1~2カ月後に膝関節を構成する軟骨と骨が再生した。 腫瘍などの副作用はなく安全性も確認された。ブタはマウスに比べ、膝関節の構造や形状がヒトに近く、人体への早期実用化が期待される。
【瀬川茂子】心臓の心筋以外の細胞に五つの遺伝子を入れて、拍動する心筋細胞に変えることに、慶応大の家田真樹特任講師らが人で成功した。作製効率や安全性を高めて、心筋梗塞(こうそく)などでダメージを受けた心筋を補う治療法の開発につなげたいという。 今週の米科学アカデミー紀要に発表する。 心臓は3割が心筋細胞で、残りは心筋以外の細胞だ。手術を受けた患者36人から心臓の心筋以外の細胞の提供を受けて、人の心筋で働いている五つの遺伝子を入れると、試験管内で心筋細胞に変えることができた。ほかの心筋細胞とともに培養すると拍動することも確認した。 続きを読む関連記事移植せず心筋再生、ヒト細胞でも 慶大チーム、試験管内で確認 五つの遺伝子を注入7/16チンパンジーからiPS細胞作製に成功 慶大・京大チーム5/27iPS細胞、てんかん再現 慶大など、新薬開発に光5/3iPS細胞でてんかん再現 慶大など、新薬開
厚生労働省の審査委員会は26日、理化学研究所などが申請していたiPS細胞を使う臨床研究計画を了承した。臨床研究は失明の恐れがある「加齢黄斑変性」という目の難病が対象で、2014年夏をメドにiPS細胞を使った世界初の治療が始まる。京都大学の山中伸弥教授が人のiPS細胞を開発してから6年あまりで、同細胞を使う再生医療が実現に向けて大きく動き出した。臨床研究は理研の高橋政代プロジェクトリーダーと先端
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体のさまざまな組織になるヒトのiPS細胞を動物の体内で変化させ、移植可能な血液のもととなる細胞を作り出すことに東京大学の研究グループがマウスの実験で成功したと発表しました。 骨髄移植に代わる新たな治療法の開発につながる可能性があるとしています。 東京大学医科学研究所の研究グループは、iPS細胞を試験管の中で血液のもととなる細胞に変化させ、移植しても今の技術では定着しないことから試験管とは異なる、動物の体内の環境に着目しました。 そして、ヒトのiPS細胞をマウスの皮膚に注入して血液のもととなる細胞に変化させ、さらに別のマウスに移植したところ、そのまま定着して、白血球や赤血球など血液の細胞になることを確認したということです。 また、この方法を応用して、遺伝性の血液の病気があるマウスのiPS細胞に正常に働く遺伝子を入れ、血液のもととなる細胞に変化させてから元のマウスに移植すると病気の治療に成功し
政府は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い、患者数が少ない難病の新薬開発を加速させるプロジェクトに乗り出した。 パーキンソン病など50以上の難病が対象で、2016年度までに治療薬の候補物質を探す共同研究体制を整える。基礎研究から薬の実用化までをにらみ、企業を加えた国主導のiPS細胞プロジェクトは初で、産学の連携で日本発の難病治療薬を送り出す構想だ。 難病は患者が少ないため研究が難しく、原因の究明や薬の開発が、世界的に進んでいない。このためマウスなどの実験動物で難病を再現する研究が行われているが、患者に使える薬を見つけるには限界があった。 iPS細胞の技術を使うと、難病患者の皮膚や血液の細胞から、神経や筋肉などの患者自身の病気の細胞を作り、生きたままの状態で増やすことができる。難病の研究に使えば、原因を調べたり、薬の効き目を確かめたりする研究が、飛躍的に進むと期待される。
【瀬川茂子】福岡大と慶応大などのグループは、薬で発作を抑えにくい難治性てんかん患者の皮膚からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作り、病気の状態の再現に成功した。病気の仕組み解明や薬の開発に役立つ可能性がある成果で、2日付英専門誌に発表した。 てんかんの発作は、神経細胞の興奮と抑制のバランスが崩れ、興奮しやすい状態になることで起こる。100人に1人がかかる病気で、うち3割が難治性と考えられている。 チームは、SCN1Aと呼ばれる遺伝子の働きが異常になっている難治性患者の皮膚からiPS細胞を作り、そこから神経細胞を作った。健康な人のiPS細胞から作った神経細胞と比べると、脳の活動を抑える役割を果たす働きが弱まっており、発作を起こしているらしいことがわかった。 続きを読むこの記事の続きをお読みいただくには、会員登録が必要です。登録申し込みログインする(会員の方) 無料会員登録はこちら朝日新聞デ
政府は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い、患者数が少ない難病の新薬開発を加速させるプロジェクトに乗り出した。 パーキンソン病など50以上の難病が対象で、2016年度までに治療薬の候補物質を探す共同研究体制を整える。基礎研究から薬の実用化までをにらみ、企業を加えた国主導のiPS細胞プロジェクトは初で、産学の連携で日本発の難病治療薬を送り出す構想だ。 難病は患者が少ないため研究が難しく、原因の究明や薬の開発が、世界的に進んでいない。このためマウスなどの実験動物で難病を再現する研究が行われているが、患者に使える薬を見つけるには限界があった。 iPS細胞の技術を使うと、難病患者の皮膚や血液の細胞から、神経や筋肉などの患者自身の病気の細胞を作り、生きたままの状態で増やすことができる。難病の研究に使えば、原因を調べたり、薬の効き目を確かめたりする研究が、飛躍的に進むと期待される。
全身がひきつるなどの発作を繰り返す「てんかん」の患者からiPS細胞を作り出し、細胞レベルで病気を再現することに成功したと、福岡大学などのグループが発表しました。 治療が難しいてんかんで薬の開発に役立つと期待されています。 てんかんは全身がひきつったり、意識を失ったりする発作を繰り返す病気で、患者のおよそ30%は現在の薬では発作を抑えられない「難治てんかん」とされています。福岡大学などの研究グループは、難治てんかんのうち、病気を引き起こす仕組みの解明が進む「ドラベ症候群」と呼ばれる患者の皮膚からiPS細胞を作り出しました。そして、神経細胞に変化させて調べたところ、これまでの動物実験の結果と同じように、神経のネットワークで電気信号を抑える働きが低下していることを確認できたということです。 ヒトの細胞で、てんかんが起きる仕組みを再現したのは世界で初めてだということで、研究グループは、この方法を使
京都大学の山中伸弥教授らが、日本の若手科学者を育成するためには透明性の高い評価システムが必要だとする論説を、26日付の米科学誌サイエンスに寄稿した。 論説では、優秀な若手が将来のキャリア形成への不安から留学を控えたり、博士課程に進学するのをやめたりしている現状を紹介。日本の科学界の構造的な問題点として、女性の活用が進んでいないことや、若手科学者の独立性が確保されていない点を挙げた。 「(大学などで)世代交代が大幅に進むここ数年が科学界を立て直す好機」として、年齢や性別、国籍などにとらわれず、個々の才能を公正に評価するために、透明性が高く、信頼できる評価システムを確立することが必要と提言している。
体のさまざまな組織になるiPS細胞を使って、筋肉が次第に衰えていく病気=「筋ジストロフィー」の病態の一部を再現することに、京都大学の研究グループが世界で初めて成功しました。 画期的な新薬の開発につながる可能性があると期待されています。 この研究を行ったのは、京都大学iPS細胞研究所の櫻井英俊講師らのグループです。 研究グループでは、三好型と呼ばれる「筋ジストロフィー」の患者からiPS細胞を作り出し、MyoDという特殊な遺伝子を入れることで、筋肉の細胞の一種、骨格筋細胞に変えることに成功しました。 筋ジストロフィーはこの骨格筋細胞が壊れやすくなることで発症しますが、iPS細胞から作り出した骨格筋細胞も同じように壊れやすくなったということで、研究グループは「病態の一部を世界で初めて再現できた」としています。 この病気の骨格筋細胞に新薬の候補となる物質を投与すれば、病気を治す効果があるかどうか短
【小宮山亮磨】赤血球が増えるのを手助けする細胞をヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)からつくり出すことに、香川大と京都大のチームが成功した。腎臓が原因で起きる貧血について、現行の治療法より体の負担が軽い新治療法の開発を目指す。 つくったのは、エリスロポエチンというホルモンをつくる細胞。腎臓にあり、酸素を運ぶ赤血球を必要に応じてつくるよう、骨髄に促す働きをしている。腎機能が落ちてこのホルモンが減ると貧血になる。 香川大の人見浩史助教らは、ヒトのiPS細胞を数種類の化学物質などで刺激。できた複数の種類の細胞から、ホルモンをつくる細胞だけをより分けた。細胞がつくったホルモンを貧血のマウスに注射すると、赤血球の量が回復した。 続きを読むこの記事の続きをお読みいただくには、会員登録が必要です。登録申し込みログインする(会員の方) 無料会員登録はこちら朝日新聞デジタルのサービスご紹介はこちら関連リ
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