同じような時期に、同じようなレベルの偉業を達成したケースであっても、時の流れはいずれかの人物に軍配を上げる。「微積分」の神は、ライプニッツではなくニュートンを祝福し、「電話」の女神はイライシャ・グレイではなくグラハム・ベルに微笑みかけた。 近代の幕開けとなった大航海時代にも、幾人かの英雄たちが存在する。その中で誰しも真っ先に頭に思い浮かべるのは、コロンブスの名前であることだろう。1492年にアメリカ大陸を発見したコロンブスによる功績の大きさは、教科書の記述を見るだけで明らかだ。 だが、それから遅れること数年、1498年にポルトガルの航海者としてインドに到達したヴァスコ・ダ・ガマこそが、その後の世界を一変させた人物であり、後世に与えた影響の大きさは計り知れないのだと著者は主張する。 本書は、そのヴァスコ・ダ・ガマの航海を、4世紀にわたってキリストの名のもとに剣を振り回した十字軍の直接の後継と
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