【テヘラン=酒井圭吾】米欧の経済制裁が強まるイランで、通貨リアルが歴史的な最安値の更新を続けている。市場への外貨供給の滞りや追加制裁への懸念が拡大しているためで、市民が外貨を買いあさる騒ぎに発展している。 テヘラン南部に住む清掃員アフマディさん(37)は8月末、路上の「闇両替所」に初めて行き、リアル建ての貯金全額を400ドル(約3万円)に替えた。インフレで食料品は毎日値上がりするが、給料は変わらない。 「リアルは紙くずになる。外貨に替えておかないと生活を守れない」。アフマディさんがそう嘆く傍らで、男性両替商は「9月の客は普段の5倍。こんなのは初めてだ」と笑顔を見せた。 昨年末から下落を始めたリアルの実勢レートは7月末以降、1ドル(約77円)=2万リアル前後で下げ止まりの傾向を見せたが、9月に入り、再び急落した。史上最安値を連日更新し、10日には1ドル=2万5500リアルと、1年前の半分の価