改めて、森口氏のiPS細胞臨床実験の虚偽と誤報の問題について考える。ツイッターで思わず書き連ねてしまったが、その言説の一部だけが流通するのは危険であり、まずかったと思い直している。 前提として、まず虚偽の発表や論文を作成し、メディアに売り込んできた森口氏に最初の罪と責任があることは間違いない。しかし、この虚偽を本当に虚偽たらしめたのは、大々的に報じた読売新聞である。森口氏の嘘は、あまりにも見破るにたやすい嘘であり、読売新聞が報じなければ、誰にも顧みられなかった可能性があるものだった。 最初の報道の時点では、私も、「へえ、そうなのか、すげえな」と感心していた。だが、ハーバード大学が森口氏の存在やアリバイを否定する声明を出した時点で、本当に仰天した。読売新聞は、そんな初歩的な裏までとらずに、こんな超特大のネタを記事にしたのか!という驚きである。 この誤報のことを、私は自分の周囲にいる大学教員(