◇所蔵品9万点 館長の井上重義さんに聞く 民間の博物館でありながら、世界中から年間約3万人が訪れる日本玩具博物館(兵庫県姫路市香寺町)。全国的に博物館離れが進み、公営の博物館でさえ運営が厳しい状況の中、なぜ健全な経営を続けることができたのか。井上重義館長(73)に博物館の魅力や展望を聞いた。【聞き手・山川淳平】 Q:なぜ民間の博物館を始めようと思ったのですか? A:49年前、通勤途中に立ち寄った書店で斉藤良輔氏の著書「日本の郷土玩具」を手にしたことがきっかけで郷土玩具の収集を始めました。江戸から明治にかけて庶民の間で作られ伝承されてきた郷土玩具が、近代玩具の出現で消え行く現状を知りました。「誰かが後世に伝えなければ」と、会社勤めの傍ら全国の玩具の作者や民家を訪ねて収集しました。郷土玩具の評価を高めるには展示施設が必要と考え、新築した自宅の一部(47平方メートル)を展示室にした「井上郷土玩具