企業のトップ辞任発表後に株価が上昇するというのはよくあることで、その最新例が米ヤフーといえるが、こうした株価の動きはその企業の事業がうまくいっていてCEOの交代が必要ないときには普通は起こらない。これは、その企業が危機的状況にあり、経営トップの交代が市場で希望の印と受け止めるために起こるものだ。 ところが、ここしばらく事業がきわめて順調に進んでいるアップルでも、スティーブ・ジョブズ氏のCEO退任発表後に株価が上昇した。もしジョブズ氏がトップの座から去るようなことになればアップルの株価は下落する、というのがそれまで広く信じられていたことだ。しかし、下図が示すように、実際にはその反対のことが起こった。アップルの株価は3%も上昇し、ダウジョーンズ株価指数の動きさえも上回った。そしてこれは短期間の現象ではない。ジョブズ氏のCEO退任発表で過去一年間の最安値を記録したアップルの株価はその後反発した。