朝、猫の世話からシームレスに、中力粉をぬるま湯で捏ね、やわらかめの生地にした。 濡れ布巾をかけて、そのまんま昼まで寝かせておいて、扱いやすく滑らかになったところで引きちぎり、薄く伸ばして、ひっつみを作った。 おつゆは醤油味で、いわゆる鍋野菜と茸の類をどかどか入れた。 かつて仕事で岩手に長くいたとき、お世話になった婆さんに習ったやつだ。 婆さんは鶏肉一択だったが、今日は豚ロースの薄切りがあったので、それを小さく切って入れた。 ひっつみには色んな流儀があるそうだ。婆さんは汁が濁るのを嫌がり、先に茹でてから汁に投入する派だった。ゆえに、弟子の私も同じようにしている。 私はたいていのことには不器用なくせに、ひっつみの生地を大きく薄く伸ばすことがわりに上手くて、婆さんを驚かせた。 久し振りに作ってみて、腕が錆び付いていないことを確認できたのは嬉しい。 一椀で食事が完結する、しみじみと美味しい食べ物だ
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