2024年12月19日、不眠症治療薬ダリドレキサント(商品名クービビック錠)が発売されました。依存形成や乱用が生じにくいとされている、オレキシン受容体拮抗薬の国内3剤目です。
大森蒲田不眠症診療WEBセミナーにおいて睡眠についての講演をしました。 昨年の会はこちら。2024年2月はこちら。 老年精神医学雑誌に睡眠を企画しました。こちら。 アデノシン受容体のPETに関する総説はこちらとこちら。 アデノシンA1およびA2A受容体の加齢変化についてはこちらとこちら。 オレキシンについてはこちら。 加齢により睡眠が浅くなるのはメラトニン分泌の減少、こちら。 メラトニン分泌の制御についてはこちら。 睡眠が短いとアミロイドがたまる、こちらとこちら。 徹夜でアミロイドやタウが蓄積、こちらとこちら。 睡眠は短くても長すぎても認知機能に関連、こちら。 加齢に伴う徐波睡眠の減少が認知症発症リスクに、こちら。 高齢になると昼寝が増えるのは、加齢変化で夜間の睡眠の質が低下するためだが、高齢者の昼寝が認知症の早期徴候である可能性、非認知症の高齢者で髄液アミロイドβ低下群は昼寝の回数が多い
(参考:「Neuroscience for Kids:How Much Do Animals Sleep?」by Eric H. Chudler, https://faculty.washington.edu/chudler/chasleep.html)(イラスト:三島由美子) トリ君、ヒツジ君、明けましておめでとう! 明けましておめでとうございます。先生、本年もよろしくお願いします! 2014年に始まったこの連載もついに10周年を迎えます。通算154回目を数える今回は正月恒例の座談会です。テーマは、10年ぶりに改訂される新たな睡眠指針。前版の「健康づくりのための睡眠指針2014」は正にこの連載が始まった年(平成26年)に公開されました。その後、睡眠科学、睡眠医療も進歩して新たな科学的知見が集積されたので満を持しての改訂です。 睡眠指針の改訂はどのようにして行われたのですか? 睡眠指針に限
ときどき父から「睡眠専門医の資格を持っていても,親の不眠症ひとつ良くすることができないのか・・・」と嘆かれます.私も我ながら不甲斐なく思います.さてこの週末,日本睡眠学会第45回定期学術集会(横浜)に参加し,指導医講習会と標題のセミナーに参加しました.「認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy;CBT)」は心理療法のひとつで,私が関心を持っている機能性神経障害の治療でも使われます.しかし脳神経内科医には馴染みがなく,しっかりする勉強する必要性を感じていました. 【認知行動療法はストレス反応の4つの側面のうち「認知」と「行動」にアプローチする】 まずCBTの考え方についてまとめます.ストレスを感じる出来事が起きた時に「頭の中に浮かぶ考え(認知)」,「感じる気持ち(感情)」,「体の反応(身体)」,「振る舞い(行動)」に注目します(図1). つまり「ストレス反応」は上記
私は日本睡眠学会の専門医ですが,父から「親の不眠も治せないのに専門医とは・・・」と言われています.私は苦笑しながら「加齢により誰もが睡眠の質は低下するので,目が覚めるのは仕方がないのですよ」と言い訳をします.事実,この「睡眠の断片化」と呼ばれる現象は,種を超えて加齢で観察されます.しかしそのメカニズムはよく分かっておりません. 今回,スタンフォード大学から,視床下部の一部の神経細胞によって生成され,覚醒のために重要な役割を果たすヒポクレチン(別名オレキシン)に注目した画期的な研究がScience誌に報告されました.ちなみにこのヒポクレチンの分泌は日内変動し,哺乳類では日中で高く(よって覚醒する),夜間に低下します(よって眠くなる).またヒポクレチンが欠損する疾患が,過眠症を呈するナルコレプシー(Ⅰ型)です. 研究チームは,若齢と老齢マウスを選び,光遺伝学的手法を用いて,老齢マウスのヒポクレ
► 2012 (1163) ► 1月 (87) ► 1月 17 (2) ► 1月 18 (12) ► 1月 19 (9) ► 1月 20 (6) ► 1月 21 (3) ► 1月 22 (1) ► 1月 23 (5) ► 1月 24 (8) ► 1月 25 (6) ► 1月 26 (7) ► 1月 27 (7) ► 1月 28 (3) ► 1月 30 (6) ► 1月 31 (12) ► 2月 (173) ► 2月 01 (7) ► 2月 02 (11) ► 2月 03 (8) ► 2月 04 (5) ► 2月 05 (2) ► 2月 06 (5) ► 2月 07 (4) ► 2月 08 (8) ► 2月 09 (6) ► 2月 10 (8) ► 2月 11 (3) ► 2月 12 (1) ► 2月 13 (7) ► 2月 14 (8) ► 2月 15 (7) ► 2月 16 (11) ►
MSDから、オレキシン受容体阻害剤:ベルソムラ(スボレキサント)錠 15mg、20mgが不眠症治療薬として発売されるそうだ。 メルクの記載見ると、「The recommended dose of BELSOMRA® (suvorexant) is 10 mg, taken no more than once per night and within 30 minutes of going to bed, with at least 7 hours remaining before the planned time of awakening」ということで、就寝30分前に服用し、7時間以上就寝可能な状況で服用するという条件。 さらに、以下FDAの記載見ると、大丈夫かよと・・・不安を覚える・・・ 簡単に言うと、10mgを超えての投与量は、効果に比べてリスクが大きく意味が無いと・・・ http:/
順天堂大学の名前が出てくる研究 多施設判定側盲目ランダム化プラシーボ対照トライアル・・・パーフェクトな盲目化試験じゃないことが、ちょっと問題か? 劇的効果が示されている。高齢者入院者にほぼルーチンに使いたくなるほどの効果・・・ホントなら Preventive Effects of Ramelteon on Delirium A Randomized Placebo-Controlled Trial ONLINE FIRST Kotaro Hatta, et. al.; for the DELIRIA-J Group JAMA Psychiatry. Published online February 19, 2014. doi:10.1001/jamapsychiatry.2013.3320 4つの大学病院と1つの一般病院のICUと通常救急病棟患者、65-89歳、重症医学的状況での新規入院
電気刺激による、徐波睡眠の質の改善で、加齢による記憶力低下を、改善させるかもしれない・・・ 加齢による記憶力低下に関する研究において、脳の経年的構造変化は、睡眠の質に関係して生じること、長期記憶蓄積鈍化に関わることを見いだした 前頭前皮質の容積は、年齢とともに減少し、睡眠の質維持に役割を果たし、新規記憶の固着のために必須の部分と以前の研究で判明していた。 Berkeleyのカリフォルニア大学の今回の研究で、睡眠関連記憶障害と脳の構造異常との関連が明らかとなった。 加齢による記憶力減衰は一方向で、睡眠の改善、特に、正常睡眠の1/4にあたる徐波睡眠期に関係する。この方向は非可逆性だが、高齢者の深い睡眠を改善する電気刺激実験、前頭前皮質部への電極を装着し、刺激することで、高品質徐波に似せることができる。 結果、記憶機能改善を一部示した。 Cued memory reactivation duri
多系統萎縮症(MSA)では多彩なメカニズムによる睡眠呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)を来すことが知られている.新潟大学医歯学総合病院では神経内科,呼吸器内科,耳鼻咽喉科などが協力し,2011年からこの問題に取り組んできた(Niigata MSA study).ちなみに睡眠時無呼吸症候群は睡眠呼吸障害(無呼吸・低呼吸)により日中の過度の眠気(excessive daytime sleepiness;EDS)を来した状態を指す. 昨年,ヨーロッパからMSAのEDSの頻度について報告があり(SLEEMSA study),MSA患者さんでは健常者の2%と比較し,28%と有意に多いことが報告された.しかしながらその影響因子については不明で,日本人においてはEDSの頻度自体も不明であった.このため新潟大学では,日本人MSA患者さんにおけるEDSの頻度およびその影響因子を検討したのでその結果をご紹介したい
Herring W, et al "Efficacy and safety of suvorexant, a dual orexin receptor antagonist, in patients with primary insomnia: Results from two pivotal trials" APSS 2012; Abstract LBA4. Associated Professional Sleep Societiesの年次集会報告 介入 suvorexant 521名、プラシーボ 258 、平均年齢 約61歳、女性 約55% suvorexantで、1時間ほど睡眠が長くなり、プラシーボの睡眠延長効果は30分未満。12ヶ月後、30分ほど入眠早くなり、プラシーボは15分程度と有意差を認めた(P<0.001、P<0.01) 副作用としてカタプレキシーの可能性があるが、今回の
Ju Y, et al "Sleep disruption and risk of preclinical Alzheimer disease" AAN 2012; Abstract. 解説:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AANMeeting/31176 Adult Children Studyという、半数がアルツハイマー病家族歴をもつ、100名(45-80歳)の小規模コホート研究で、頻回な中途覚醒、ベッド上覚醒習慣がアルツハイマー病にとって有害かもという報告。cause-and-effect relationshipは明らかでないし、予測的な減少なのかも明らかでないが事象として報告される。 14日間actigraphや睡眠日誌・アンケートで、睡眠状況を客観的に記録 脳脊髄液アミロイドβ-42を測定、PETによるアミロイド画像化 r
小規模研究というのが今一つだが、卒中における睡眠時無呼吸は高率で、56名の卒中のうち、91%に軽症以上の無呼吸あり、apnea scoreはsilent strokeと相関 (OR 1.04, P=0.03) American Stroke Association's International Stroke Conference. (http://my.americanheart.org/professional/Sessions/InternationalStrokeConference/International-Stroke-Conference_UCM_316901_SubHomePage.jsp) Kepplinger J, et al "Sleep apnea as a risk factor in patients with chronic microvascular ch
一晩寝たら、つらいことなんて忘れてしまう! ・・・ ってほんとか? 寝る前に怖いものをみたら記憶の固着が生じる。情緒的・感情的に表現することは減少するが、記憶として残る。 せめて、寝る前にはやはりpositiveなものに触れるようにしましょう・・・ 睡眠は、特に感情的記憶に関して、記憶促進的に働く。このため、睡眠不足がPTSDを減少に働く可能性がある。 感情的記憶硬化は、感情的応答の減少とともに平行の変化を示すという仮説になり、この関連性は確認されてない。 Processing of Emotional Reactivity and Emotional Memory over Sleep Baran B, et al The Journal of Neuroscience, 18 January 2012, 32(3): 1035-1042; doi: 10.1523/JNEUROSCI
認知症無しの女性298名の前向き研究 結論から言えば、認知症リスク軽減のためにもSDBスクリーニングは必要という話だと思う。 高齢者女性において、睡眠呼吸障害:SDB女性は、それ無しの女性に比べ、認知障害発症リスク増加と関連。 日本外の論文では、閉塞型無呼吸を鑑別できている場合はOSAとし、簡易的検査のみの時はSDBとして呼称と使われる傾向のようだ。 (日本の学会や論文では”SAS”なんて国際的に通用しない呼称が使われることもある様だ・・・恥さらしだと思うのだが・・・) Sleep-Disordered Breathing, Hypoxia, and Risk of Mild Cognitive Impairment and Dementia in Older Women JAMA. 2011;306(6):613-619. doi: 10.1001/jama.2011.1115 SDB無
ALS患者さんの睡眠障害に関するイタリアからの報告である.目的は睡眠障害合併の頻度,重症度,およびそれらに影響を及ぼす因子について明らかにすることである. 対象はALS患者100名と,年齢と性別をマッチさせた対照100名.ALS患者の内訳はNPPV(非侵襲的陽圧換気療法)中が21名,うつを23名で認め,そのうち11名が抗うつ剤による治療中であった.睡眠障害の有無を問診し,さらに睡眠の質を評価するPittsburgh Sleep Quality Index (PSQI;ピッツバーグ睡眠質問票),日中の眠気を評価するEpworth Sleepiness Scale(ESS)を行った.このPSQIは主観的な睡眠障害を評価する自記式質問表で,「主観的睡眠の質,睡眠潜時(入眠までにかかった時間),睡眠時間,睡眠効率,睡眠障害,睡眠薬の内服,日常生活における障害」の7項目を調べることができる.またAL
大うつ障害は、早死や障害の原因としてトップの一つ。薬剤もあるが、現時点ではその効果は限界がある。 chronobiology(時間生物学)と大うつ障害の基本的つながりの理解が深まっており、サーカディアンリズムをターゲットとした新規薬剤も開発されている。この観点から、chronobiology(時間生物学的)障害と大うつ障害との関連を要約し、新規抗うつ薬剤のレビュー 特に、chronobioticを有し、抗うつ、不安緩和かを有する agomelatineは、 melatonin-receptor agonist で、 selective serotonergic receptor subtype (ie, 5-HT2C) antagonistである。 短期的には、agomelatineは、venlafaxine、fluoxetineやsertralineと同等の抗うつ効果を持ち、長期的には、
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く