印刷 メール サンキュータツオさんに聞く辞書の世界 「最も売れている辞書はあるが、最も正しい辞書はありません」=東京都千代田区の三省堂書店神保町本店、高波淳撮影 ■編集哲学2大潮流 読み比べが楽しい 春。新入学、進級に合わせて辞書、国語辞典を買う人も多いだろう。辞書なんか、どれでも同じじゃないの? と思っていたら、サンキュータツオさんは「違います」(キリッ)。日本語学の大学講師を務める一方で「あまりに暇な芸人生活」(本人の弁)を送る学者芸人が、めくるめく辞書の世界を案内する。 ――辞書なんか、どれでも同じでしょう。 「いいえ。辞書によって編集の哲学がまるで違うんです」 ――哲学、ですか。 「国語辞典の世界には、用例の三省堂、規範の岩波書店、という編集哲学の2大潮流があります。三省堂の新明解国語辞典は、日常生活で使われる言葉や言い回しの用例を、比較的古いものまで積極的に載せています。これに対