企業の違法な偽装請負を内部告発した派遣労働者が、十分な理由もなしに契約を打ち切られ、失業したまま厳しい不況の波にさらされている。二〇〇六年施行の公益通報者保護法は、正規・非正規労働者を問わず、内部告発者の差別的待遇を禁じる。労働者側は「内部告発者の雇用を法的に保障する必要がある」と訴える。 (菊谷隆文) 「毎日、ハローワークに行っても仕事は見つからない。今では失業者が急増し、職に就くのがますます厳しい」。徳島県小松島市の島本誠さん(35)はため息を漏らす。 島本さんが発光ダイオード製造大手「日亜化学工業」(同県阿南市)の工場で働き始めたのは四年前。人材派遣会社から請負と説明されたが、携帯電話などのバックライトの製造ラインで正社員と一緒に働き、正社員から指示を受けた。