イギリスや日本が戦後、高度経済成長を成し遂げられたのは、多くの女性たちが家庭に入り無償でケアを引き受けていたからでもある。しかし、オイルショックでその限界に達した。女性たちは外に出てお金を稼がなければならないし、かといってケアをなしにするわけにもいかない。男女とも、そうした時間を作れる働き方にしなければならない時代は、とうの昔に到来している。 こうした話から思い出すのは、ファンタジー作家のミヒャエル・エンデの名作『モモ』である。物語では、時間泥棒の組織が人々のゆとりを奪っていた。奪われたゆとりとは、人々が家庭や地域でお互いをケアする時間だった。現実を生きる私たちが時間泥棒を撲滅するには、どうすればいいのだろうか。 稼ごうとするとケアするゆとりを失う構造 現在の資本主義社会では、稼ごうと思えばケアをするゆとりを失う構造になっていないか。ケアを重視すれば低賃金もしくは無償で働かざるをえなくなる
