少子高齢化が進展し、これから本格的な人口減少時代を迎える日本は、規制緩和をはじめとした徹底的な構造改革が求められている。あらゆる分野で市場原理が導入され、効率的な社会経済の運営が不可欠だ。しかし、その結果、所得格差、雇用格差、情報格差、教育格差、地域格差など、多くの「格差」が発生して、日本は格差社会になりつつあることも事実だ。先の参議院選挙でもこの格差問題がひとつの大きな争点になったが、市場競争のなかでさまざまな“違い”が発生するのは当然の帰結でもある。 社会に“違い”が生じることは決して悪いことではない。問題は、その“違い”が「格差」なのか「多様性」なのかという点である。「格差」とは自分の努力や意志ではどうすることもできない他律的に決められた社会の枠組みであり、「多様性」は自らが選択できる自律的なものだ。したがって、単に“違い”があることだけを捉えて「格差」だということもできないし、「格