初めてラーメンズの『現代片桐概論』を観たときは、それの何が面白いのかがさっぱり分からなかった。『現代片桐概論』とは、白衣を身につけた小林賢太郎演じる講師が、片桐仁演じる“教材用片桐仁”を隣に立たせた状態で「カタギリ」という生物について講義するコントである。無論、カタギリなどという生物は実在しないので、そこで語られている内容は全て嘘、虚構だ。だが、その嘘が、他人に追及されることはない。なにせ、相方の片桐は“教材用片桐仁”としての役目を全うしなくてはならないために、口を開くことも出来ない。結果、嘘は嘘のまま舞台上に放り出され、そのまま垂れ流しになってしまう。 笑いについて学術的な側面から研究している井山弘幸氏によると、この『現代片桐概論』はリアリティの破壊を描いているのだそうだ。小林によって展開されるリアルな講義の中に、実在しないことが明白なカタギリが違和感無く存在していることによって、可笑し