江戸時代から地元に伝わる敷物用の織物「堺式手織緞通(だんつう)」の技術継承に、大阪刑務所(堺市)の受刑者らが取り組んでいる。 明治時代には1000人を超えていた職人が12年前にいなくなったため。現在は、堺市役所に飾る「仁徳天皇陵」(大山古墳)の図柄を2年がかりで制作している。 「堺式手織緞通技術保存協会」によると、1992年、第一人者だった辻林峯太郎さんが86歳で死亡。技術が途絶えることに危機感を募らせた同協会が94年、同刑務所に協力を依頼した。2000年には最後の職人が亡くなり、同刑務所と同協会の公募に応じた主婦らが技術継承の担い手になった。しかし、主婦らが制作に取り組むのは週1回。毎日10人程度で作業し、毎年約20畳を仕上げている受刑者らの腕前が上がり、今では流通する堺式緞通の全てが大阪刑務所製だ。出所者を見越して引き継ぎも行っているという。 作品は、刑務所製品を展示即売する「矯正展」