「国民の憲法」要綱は戦後の教育現場にみられたさまざまな混乱に終止符を打つために、国の教育権を明記した。さらに教師自身の政治信条に基づく活動を学校に持ち込んだり、子供たちを巻き添えにしないよう第二〇条2項で公務員の自由および権利が制限されるよう定めた。 《2 公務員の自由および権利は、行政の中立的運営のため、または地位の特殊性と職務の公共性に鑑み、法律により制限することができる》 公務員も政治的信条を抱く自由はある。その精神的自由は保障されている。心のなかに宿る信条まで規制はされない。 ただ、公務員は全体の奉仕者だ。濫(みだ)りに自分の支持政党を口外したり、教育の場で行われる政治活動を放置するわけにはいかない。 例えば、反戦思想を信奉する教師が学校で自衛官の子供を教える場面は起こりうる。いくら自由、自分の信念といっても政治信条は厳に封印してくれなければ、不用意に子供の心を傷つけたり、公平公正