【読売新聞】 衆参両院の予算委員会を舞台に、政府と与野党が論戦を展開している。だが、外交や安全保障に関する議論は物足りないと言わざるを得ない。 国際情勢は、変化のさなかにある。菅首相と各党は、日本が果たすべき役割や、懸案解決の道筋を
【読売新聞】 衆参両院の予算委員会を舞台に、政府と与野党が論戦を展開している。だが、外交や安全保障に関する議論は物足りないと言わざるを得ない。 国際情勢は、変化のさなかにある。菅首相と各党は、日本が果たすべき役割や、懸案解決の道筋を
国有地が驚くほどの安値で売却されていたとして、学校法人「森友学園」(大阪市)の小学校用地をめぐる問題が国会の焦点になっている。 国民の財産である国有地の取引が、不明朗であってよいはずがない。腑(ふ)に落ちる説明がなされていないのは、どうしてなのか。早急な解明が必要である。 平成29年度予算案は審議の場を参院に移すが、注目を集めた国有地売却を国会として見過ごすわけにはいくまい。必要な関係者の招致を含め的確に対応すべきだ。 小学校の開校にあたり、安倍晋三首相や首相夫人の名前も使われていた。首相としても、名誉を傷つけられたままになろう。率先して解明を指示する必要がある。 学園は小学校建設のため、大阪府豊中市の国有地を取得した。当初、将来の売買を前提に賃貸契約を結んだが、くい打ち工事の過程でゴミなどの埋設物が見つかった。国が撤去作業をすると開校が遅れるため、購入した。 その際の評価額は約9億560
鴻池祥肇委員長の不信任動議を否決した直後の法案採決では、与野党議員が委員長席に殺到し、混乱した。与党は18日までに、法案を参院本会議で可決、成立させる方針である。 これに対し、野党側は、中谷防衛相の問責決議案などを参院に提出した。衆院への内閣不信任決議案の提出も含め、法案成立に抵抗し続ける構えだ。 看過できないのは、民主党が主導して、国会内で連日、度を越した審議妨害・引き延ばし戦術を展開していることである。 委員会室前の通路で、多数の女性議員らを「盾」にして、委員長や委員の入室を邪魔する。委員長らの体を激しく押さえつけたり、マイクを奪ったりする。 どんな理由を挙げても、こうした物理的な抵抗や暴力的な行為を正当化することは許されまい。 言うまでもなく、国会は審議・言論の場である。国会議員には、一定のルールに基づく、品格と節度のある行動が求められる。 民主党議員らの言動は、国会外のデモとも連動
投票率の低さ、相次ぐ無投票など、地方選の低迷が指摘されている。 政党や候補者に、明確な争点の設定などが求められるのは言うまでもない。だが、政権与党の自民党にして、責任をまっとうしているといえるだろうか。 20日告示の岩手県知事選は、自民、公明両党の支援を受けて現職に挑むはずだった無所属の参院議員が、直前になって立候補を取りやめた。 当選を確実視できないのが理由だというが、あまりにも安易な「不戦敗」の選択ではないか。有権者の「政治離れ」を加速させかねない。 安倍晋三首相の下で「1強多弱」の状況が続いているとはいえ、自民党には与党として地方選にどう臨むか、という基本姿勢が問われている。 岩手県知事選では、おのずと「復興」が大きな争点の一つになる。辞退した参院議員は、その行政に大きくかかわってきた。
国会議員としての自覚にあまりにも欠けた発言であり、見過ごすことはできない。 自民党若手有志の勉強会で、安全保障関連法案に批判的な報道機関に広告収入などで圧力をかけるべきだとする意見が相次いだという。 報道、言論の自由は民主主義の根幹をなす原則である。重要法案への報道姿勢や論調が気にくわないのなら、「言論の府」の一員として言論で対峙(たいじ)すべきだ。それ以外の方法で対抗しようという発想自体が間違っている。 発言がどう受け取られ、国会審議に迷惑をかけることになるのか。与党議員としての、そんな最低限の想像力さえない。 自民党の谷垣禎一幹事長は勉強会を主催した党青年局長を更迭し、発言した議員3人を厳重注意処分とした。安倍晋三首相も遺憾の意を表明したが、対応が速やかであったとはいえない。 勉強会では議員から「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番だ」といった発言があり、講師役の作家、百
自民党の保守系若手・中堅議員らによる勉強会「文化芸術懇話会」が、25日に開いた初会合での発言のことだ。 安全保障関連法案に批判的な報道機関を念頭に、出席議員から「マスコミを懲らしめるには、広告収入がなくなるのが一番だ。経団連に働きかけていただきたい」といった声が上がった。 自らの主張と相いれない新聞やテレビ局に広告を出させない形で圧力をかけようとしている、と受け取られても仕方あるまい。 「1強」の勢力を持つ自民党の驕(おご)りの表れであり、国会議員としての見識も疑われる。 言論・報道の自由が保障され、様々な論調が存在することが、民主主義の基本原則である。 安倍首相が衆院平和安全法制特別委員会で、一連の発言について「事実ならば大変遺憾だ」と述べたのは当然だ。 自民党内では、谷垣幹事長が「メディアに対して批判・反論することはあってもいいが、主張の仕方には品位が必要だ」と指摘した。二階総務会長も
日本や地域社会について、未来を担う若い世代が主体的に考える契機となることを願いたい。 選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が成立した。 選挙権は、主権者である国民が国づくりなどにかかわる民主主義の柱となる。70年ぶりにその対象の幅を広げる意義は大きい。 来年夏の参院選から、高校3年生の一部を含む18、19歳の若者およそ240万人が新たな有権者となる。彼らに魅力ある選択肢を示せるか。政党、政治家の力量が問われることも言をまたない。 世界では9割近くの国が18歳選挙権を認めている。今回の制度改正は、憲法改正国民投票の投票権年齢が、平成30年に「18歳以上」へ引き下げられるのに合わせた措置である。
中谷防衛相は安全保障関連法案審議で、集団的自衛権の限定行使について、「憲法違反にならない」と答弁した。「これまでの憲法9条の議論との整合性を考慮し、行政府の憲法解釈の範囲内だ」とも語った。 前日の衆院憲法審査会で自民党推薦の参考人が法案を「憲法違反」と断じたことを取り上げ、法案の撤回を求めた民主党議員に、正面から反論したものだ。 参考人の長谷部恭男早大教授は「従来の政府見解の基本的論理で説明がつかないし、法的安定性を大きく揺るがす」と述べた。首をかしげたくなる見解である。 政府は、集団的自衛権の行使について「我が国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険」という、極めて厳しい要件をつけている。 この要件は、自国の存立を全うするために必要な自衛措置を容認した1959年の最高裁の砂川事件判決を踏まえたものだ。 国民の権利が根底から覆される事態に対処する、必要最小限度の武力行使は
早ければ、来夏の参院選から高校生を含む18歳以上が有権者に加わる。選挙権を持つ年齢を引き下げる公職選挙法の改正案が、今国会で成立する見通しだ。 選挙権は主権者の国民が行使する民主主義の柱であり、70年ぶりに引き下げる意義は極めて大きい。未来を担う若い世代が国づくりの責任を自覚し公正な一票を投じられるよう、教育への配慮を十分行ってもらいたい。 選挙権年齢引き下げは、昭和20年に「25歳以上」から「20歳以上」に変更されて以来となる。成立は確実な情勢で、公布から周知期間を経て施行される。来年夏の参院選で適用されれば18、19歳の約240万人が新有権者となり、現在の高校2、3年と高校1年の一部が含まれる。 投票率が低い若者世代の政治や選挙への関心をいかに高めるかが問われる。学年に応じて社会参加や選挙の意義、仕組みなどの理解を深めていく教育が、一層必要となるだろう。 選挙権年齢の引き下げは、昨年6
安倍晋三首相が年内の衆院解散・総選挙を検討しているという。来年十月の消費税再増税を先送りするため、国民に信を問うというのが解散の「大義」だが、問われるべきは「安倍政治」そのものだ。 首相が外遊から帰国する十七日に七~九月期の国内総生産(GDP)の速報値が発表される。景気回復の遅れが判断された場合、消費税再増税の先送りを決断し、その是非を国民に問うため、衆院を来週中にも解散するという。総選挙の日程は十二月二日公示-十四日投開票、九日公示-二十一日投開票が想定される。 消費税を二段階で10%に増税することは民主党政権下の二〇一二年六月、「社会保障と税の一体改革」として民主、自民、公明三党が合意したもので、同年十二月の衆院選の自民党政権公約でも消費税は「当面10%」と記していた。
安倍晋三政権は、汚染水を抱える東京電力・福島第1原子力発電所の窮状をいつまで傍観し続けるつもりなのか。 事故から3年を迎えたにもかかわらず、第1原発の放射能汚染水は増加の一途をたどっている。この流れに終止符を打たない限り、廃炉作業の加速もままならないことは誰の目にも明らかだ。 汚染水の増加は、山側からの地下水が原子炉建屋などに絶え間なく流れ込んでいるためだ。1日400トンの量に上る。この地下水が建屋地下室の放射能汚染水と混ざり合うことで毎日400トンの新汚染水が生じている。 東電はトリチウム以外の放射性物質を回収できる浄化装置(ALPS)などを稼働させているが、汚染水の総量は増えている。2日に1基のペースで大型タンクを増設し、既に千基を超える貯蔵タンクが第1原発の敷地内にひしめく状態だ。 現場の労力の相当部分が汚染水対策で消耗している。貯蔵タンクからの汚染水漏れが起きているが、安全管理体制
日本浮上へ総力を結集せよ(1月1日付・読売社説) ◆「経済」と「中国」に万全の備えを デフレの海で溺れている日本を救い出し、上昇気流に乗せなければならない。 それには、安倍政権が政治の安定を維持し、首相の経済政策「アベノミクス」が成功を収めることが不可欠である。 当面は、財政再建より経済成長を優先して日本経済を再生させ、税収を増やす道を選ぶべきだ。 そのうえで、年金・医療などの社会保障、安全保障・危機管理、エネルギーなどの政策分野に投資し、中長期的に国力を上昇させていくことが肝要である。 対外的には、アジア太平洋地域の安定が望ましい。 中国が東シナ海とその上空で、強圧的な行動をエスカレートさせている。日本との間に偶発的衝突がいつあってもおかしくない、厳しい情勢が続く。 日中両国の外交・防衛当局者による対話を重ねつつ、日米同盟の機能を高めることで、軍事的緊張を和らげねばならない。 今年も「経
首相靖国参拝 外交立て直しに全力を挙げよ (12月27日付・読売社説) ◆国立追悼施設を検討すべきだ “電撃参拝”である。なぜ、今なのか。どんな覚悟と準備をして参拝に踏み切ったのか。多くの疑問が拭えない。 安倍首相が政権発足1年を迎えた26日午前、就任後初めて靖国神社に参拝した。現職首相の参拝は、2006年8月15日の小泉首相以来だ。 安倍首相は、第1次政権の任期中に靖国神社に参拝できなかったことについて「痛恨の極み」と述べていた。その個人的な念願を果たしたことになる。 ◆気がかりな米の「失望」 首相は終戦記念日と靖国神社の春・秋季例大祭の際、真(ま)榊(さかき)や玉串料を奉納するにとどめてきた。 参拝すれば、靖国神社を日本の軍国主義のシンボルと見る中国、韓国との関係が一層悪化し、外交上、得策ではないと大局的に判断したからだろう。 米国も首相の参拝は中韓との緊張を高めると懸念していた。ケリ
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