井上ひさしさん、ばばこういちさんと「戦後民主主義」を支えたリベラルな旗手の役割をはたした人たちの訃報が続く。人間に寿命がある以上、やがて戦争体験を持つ世代はいなくなり、戦前の軍国主義時代の言論弾圧や治安維持法下の恐怖の監視社会を知る人たちの生の記憶も「書物」の世界にのみ宿る時が来る。おまけに、書物さえ存続しうるのかは怪しくて、「電子書籍化」の波に出版界はおののいている。 このところ、メディア関係者に会うと「新聞」「雑誌」「テレビ」といった媒体の力が衰え、インターネットやデジタルコンテンツの勢いが止まらないという話題に必ずなる。私も、こうしてブログを書き続けていて、すでに紙で読んでもらっている印刷物よりも、ネット上の言説に触れている人の方が圧倒的に多いことを感じている。しかし、だからと言って「ネット」「デジタル」にすべてを託すという気にならないのは旧世代だからだろうか。 インターネットの欠点