尖閣無人島命名 領土で中国の圧力に屈するな(2月3日付・読売社説) 東シナ海を「協力と友好の海」にするとの日中合意は何だったのか。 政府は、中国に今後も自制を促すとともに、領土や海洋権益で毅然(きぜん)とした態度を示すべきだ。 尖閣諸島にある四つの無人島に名称をつけるという、日本政府の方針に、中国政府が抗議した。 1月17日の中国共産党の機関紙「人民日報」は、「公然と中国の核心的利益を損なう振る舞いだ」と、日本を非難する評論を掲載した。尖閣諸島に「核心的利益」との表現を用いたのは初めてだ。 中国の定義によると、「核心的利益」は、中国が絶対に譲歩できない国家主権や領土保全などを意味する。これまでは、台湾やチベットなどに用いていたが、近年は周辺国と武力衝突も起きた南シナ海にも使っているとされる。 中国側には、強い表現によって、日本に圧力をかけ、命名の動きにブレーキをかける狙いがあるとみられる。
【ソウル=村岡経世、前田泰広】北朝鮮から韓国に亡命した元外交官ら2人が読売新聞の取材に応じ、たとえエリートであっても理不尽な理由で一瞬のうちに窮地に追い込まれる北朝鮮の恐怖政治を語った。 2人は金正日(キムジョンイル)総書記の死をきっかけに、体制が転換することを願っている。 「独裁の終わりだ」。脱北者支援団体「北韓民主化委員会」委員長の洪淳京(ホンスンギョン)さん(73)はソウル市内の事務所で声をあげた。19日昼過ぎ。テレビは金総書記の死去を伝えていた。 洪さんは1996年まで、タイの北朝鮮大使館で大使や公使に次ぐ参事官として勤務。退官後もタイにとどまり、北朝鮮企業の現地支社長に就いていた。 安定した生活が急転したのは98年。理由は今もはっきりしないが、「日本企業に技術を売ろうとしている」との虚偽の情報を秘密警察に密告されたようだ。突然の帰国命令が出され、従った社員らは身柄を拘束されたと聞
内閣信任案可決 綱渡りギリシャは一致団結を(11月6日付・読売社説) ギリシャ議会は、パパンドレウ内閣の信任案をかろうじて可決した。 最悪の事態はひとまず避けられたが、財政危機克服へ綱渡りが続く。政局を安定させ、財政再建を急ぐことが課題である。 信任投票の結果は、賛成153、反対145だった。仮に否決された場合、パパンドレウ首相は内閣総辞職か解散総選挙に追い込まれ、政局は大混乱しただろう。 国家のデフォルト(債務不履行)危機が迫っている中、ギリシャに政治空白をつくる時間はない。 信任投票を乗り切ったことで、ギリシャだけでなく、ギリシャ発金融危機や信用不安の拡大に翻弄される世界も安堵(あんど)した。 パパンドレウ首相は、仏カンヌの主要20か国・地域(G20)首脳会議の直前、欧州連合(EU)がまとめた包括支援策を受け入れるかどうか、国民投票を実施すると提案し、混乱を引き起こした。 仏独両国など
米国防総省は8月、中国の軍事力に関する年次報告書で、中国人民解放軍が核・宇宙兵器に加え、「サイバー戦争における攻撃能力を着実に向上させている」と警告した。 報告書は、中国軍によるサイバー戦の主目的は〈1〉敵情報の盗み出し〈2〉敵の兵站(へいたん)・通信ネットワークなどを攻撃して敵の行動を妨害〈3〉戦闘時にサイバー戦を展開し、攻撃の相乗効果を高める――の3点にあると指摘。また、米政府などのコンピューター網に対する膨大な量の侵入行為の中に「中国発とみられる」ものも含まれていたと指摘した。 ウィリアム・リン国防副長官は7月、同省関連のネットワークから開発中の兵器システムなどに関する機密情報を含む2万4000件のファイルが今年3月に盗み出されたことを明らかにした。専門家などの間では、中国政府の仕業との見方が根強いが、副長官は特定の国名に言及するのは慎重に避けた。
パレスチナ 国家樹立と和平に近道はない(9月25日付・読売社説) パレスチナが真の独立国家の地位を得るには、イスラエルとの交渉しか道はない。交渉の早期再開こそが重要である。 パレスチナ自治政府が23日、国連に加盟申請書を提出した。交渉による国家樹立の道を棚上げし、国連加盟国に直接、国家としての承認を求めたものだ。交渉の仲介役を務めてきた米国には不信任状を突きつけた形だ。 国連加盟には、安全保障理事会による総会への加盟勧告が必要だ。安保理は近く、パレスチナの加盟申請の扱いを協議する。 常任理事国の米国は拒否権を行使する意向を示している。安保理で採決する事態となれば、問題はさらにこじれる恐れがある。米国の拒否権行使によって反米感情が高まり、中東情勢は一層不安定化するだろう。 それを避けるためにも、イスラエル、パレスチナ双方をできるだけ早く交渉の席に着かせる道を探らなければならない。 米、露、欧
【北京=大木聖馬】中国の国際問題専門紙「環球時報」(18日付)によると、中国の民主活動家、劉暁波氏へのノーベル平和賞授賞に対抗する形で昨年12月に中国で創設された「孔子平和賞」の今年の候補者に中国当局認定のチベット仏教高僧、パンチェン・ラマ11世やプーチン露首相ら8人が選ばれた。 今後、ネット上で意見を募って候補者を絞り込み、最終的に20人の委員で受賞者を決める。 候補者には両氏のほか、メルケル独首相、ズマ南アフリカ大統領、アナン前国連事務総長らが含まれている。 孔子平和賞の授賞式は昨年同様、ノーベル平和賞の授賞式前日の12月9日に行われ、受賞者には10万元(約120万円)の賞金が贈られる。昨年は台湾の連戦・元副総統が選ばれたが、連氏は授賞式に出席しなかった。
【テヘラン=五十嵐弘一】イスラム教に基づく厳格な統治が行われるイランで、出版社が最も大切な書物である聖典コーランを中国企業に発注した。 ところが発売前の検閲の段階で聖典に多数の誤植が見つかり、イラン政府は中国製コーランの輸入を禁止した。メヘル通信などが伝えた。 イランで出版される書籍は、文化・イスラム指導省が審査し、出版を許可するか決める。特に重要なコーランについては、専門機関「聖コーラン機構」が内容をチェックする。 イランの出版社の間では今年の春頃から、印刷機の老朽化などを理由に、政府の許可を得て、コーランの印刷・製本を中国の業者に発注する動きが出ていた。 ところが、聖コーラン機構が、中国製のコーランを調べたところ、つづりの誤りが数多く見つかった。
【パリ=三井美奈】財政赤字が深刻化する欧州各国で、大企業トップや富豪が相次いで「我々にもっと課税を」と訴えている。 緊縮財政が続く中、庶民の不満の矛先が自分たちに向くのを避ける狙いがありそうだ。 フランスでは8月下旬、「国内で最も裕福な女性」と呼ばれる化粧品会社ロレアルの大株主リリアーヌ・ベタンクールさんや石油大手トタルのクリストフ・ドマルジュリ最高経営責任者(CEO)ら16人が「国の将来が財政赤字に脅かされている今、我々は貢献の用意がある」という書簡を連名で雑誌に発表。続いて、イタリアを代表する「セレブ」で高級車フェラーリのルカ・ディ・モンテゼモロ会長が地元紙で「中産階級への(増税)要求はけしからぬ。まず金持ちに求めよ」と訴えた。ドイツでは「課税を求める富裕層」というグループが、資産家への新たな課税を求めている。
【ソウル=門間順平】韓国の李明博(イミョンバク)大統領は15日、ソウルで開かれた「光復節」(日本による植民地支配からの解放記念日)の式典で演説し、日韓関係について「未来のために不幸な過去に縛られることはないが、決して忘れない」と述べ、「日本は未来の世代に、正しい歴史を教える責任がある」と強調した。 日韓が領有権を争う竹島(韓国名・独島(トクト))問題については直接言及しなかったが、韓国では竹島問題は歴史問題としてとらえられている。今月上旬、自民党の3議員が竹島近くの鬱陵島(ウルルンド)を視察しようとしたことなどを念頭に、日本側に暗に自制を求めたものとみられる。 大統領はまた、南北関係については、「平和と協力の時代を開くため、責任ある行動と誠意ある姿勢で相互の信頼を構築することが最も重要だ」と語った。
【ロンドン=大内佐紀】英誌エコノミスト最新号は、オバマ米大統領やメルケル独首相ら米欧の指導者が、財政再建など痛みを伴う決断を避け続けていることで、「日本化している」と批判する巻頭記事を掲載した。 表紙には、米ドルを象徴する緑色の着物姿のオバマ氏、「ユーロ」と書いたかんざしを付けたメルケル氏を描いた風刺画。記事は、「債務、デフォルト(債務不履行)、麻痺する政治」で「日本化」が進んでいる、との見出しで、「決断をいやがる政治家が問題の根元と化し、景気後退の要因となるような行動をとっている」とやゆした。 記事は、現在欧米で進行中の経済危機は「(バブルが崩壊した)20年前の日本で起きたことの再現だ」と警鐘を鳴らした。その上で、「待てば待つほど方向転換が難しくなるのは、日本の政治家が身を以て示した教訓だ」と指摘して、欧米指導者に決断と行動を促した。
【温州=関泰晴】23日に起きた高速鉄道事故で、28日の温家宝首相の記者会見は、大地震などの被災者への支援のメッセージとは異なり、民衆に当局の対応の悪さについて釈明するという、共産党の一党独裁政権の首脳としては異例のものだった。 政府のインターネットサイトによると、温首相は、入院中の負傷者を見舞った後、犠牲者の遺族とも面会し、「みんなが関心のある問題を適切に処理することで、死者を安らかに眠らせ、生きている者に慰めを与える」と語り、民衆への配慮を示した。ただ、関係者によると、面会したのは、当局との賠償交渉に応じたとみられる一部の遺族だけ。 事故処理をめぐって政府を批判し、抗議行動をしている遺族は「温首相と遺族の面会があることは知らなかった」と話した。当初から招かれていなかった模様で、当局は遺族が連携して抗議行動を起こさないようにするため対応を分け、切り崩しを図っているとみられる。
【ソウル=仲川高志】韓国主要紙は19日、北朝鮮の朝鮮中央通信が15日に撮影したとされる平壌市内の水害の写真について、被害を誇張するために修整を加えた可能性があると一斉に伝えた。 韓国政府には「食糧難にあえぐ北朝鮮が国際社会からの支援を得るため、意図的に誇張した可能性がある」との見方が出ている。 AP通信はこの写真の提供を受けて16日、契約先の報道機関などに配信した。だが、写っている人の脚と水の境目が不自然にぼやけており、APは17日、「デジタル技術で加工されたもの」などとして配信先に対して削除通知を出した。 韓国メディアは「加工の痕跡がみられる」との専門家の分析を伝えている。 朝鮮中央通信は16日、北朝鮮各地で12~15日、大雨が降り、人命被害や耕地の冠水、住宅や公共の建物などが損壊する被害が出たと報じていた。
【ウィーン=末続哲也、高田真之】ウィーンで開催中の国際原子力機関(IAEA)の閣僚級会議は20日午後、事務レベルによる非公開の作業会合がスタートした。 東京電力福島第一原子力発電所の事故評価では、日本政府と東電が一体となった対応に、加盟国から事業者責任のあいまいさを批判する声が相次いだ。 事故評価を議題とする会合では、広瀬研吉・内閣府参与が日本政府の事故報告書を、IAEA担当者が現地視察の調査報告書をそれぞれ説明した。 これに対し、会場からは、原子炉格納容器の圧力を下げるため蒸気を外部に逃がす「ベント」や海水注入が遅れた点を重く見て、「現場で判断可能な部分まで上に指示を仰ぎ、時間がかかった」などの批判が相次いだ。IAEAの安全基準は「原発の安全性は一義的に事業者に責任がある」としており、日本の対応に疑問の声が上がった。
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