川崎市は24日、市立井田病院(中原区)で女性患者が2度にわたりコンピューター断層撮影法(CT)検査で肺がんの可能性を指摘されながら、医師の間で情報共有がされないミスがあったと発表した。女性はがん治療の開始が約4年半遅れ、今年8月に80歳代で死亡した。 【グラフ】「病院側が消極的」?医療事故発生報告件数 市病院局によると、女性は2017年12月と21年12月に骨折で入院。CT検査をした放射線診断科医が2度とも報告書に「肺がんの疑いがある」と記載した。しかし、注意喚起などはなく、当時の主治医らも報告書を確認しなかったため、女性をそのまま退院させていた。 女性が心不全で救急搬送された今年5月、担当となった医師が過去のCT検査報告書を確認した。検査した結果、女性は「ステージ4」の肺がんと診断された。病院側は女性と家族に謝罪し治療にあたったが、女性は約3か月後に死亡した。