ボストロムの著書がもっとも徹底的な批判だろうが、いまだにカーツワイルのシンギュラリティ論が喧伝されているのには驚く。2019年1月1日の日経新聞の一面記事は「つながる100億の脳」というもの。米デューク大学のミゲル・ニコレリス教授の脳と機械をつなぐブレイン・ネットワーキングという技術についてだ。もはや倫理の問題という論旨で書かれているが、それはすでにこの技術が実用化に近いという印象を与えている。 その後もAI関係の記事が並ぶ。7面を見ると若手研究者の9割が「人の知性超えられる」という調査結果が示されている。第二部ではAI搭載の家具の効用が論じられている。結局1面の記事は広告と捉えた方が良いのか、それとも論説なのかが分からない。ニュース記事というには内容が薄すぎる。ここにも未来予想の根拠なき楽観が感じられる。 現在の情報技術、およびそれがもたらす現象を、思想史に落とし込み考えてみる、という趣