ヒトでの流行が懸念されている強毒性の鳥インフルエンザウイルス(H5N1)は、昨年流行した新型インフルエンザウイルス(H1N1)と交雑しやすい特徴があることを、河岡義裕・東京大医科学研究所教授(ウイルス学)らが実験で確かめた。H5N1は、ヒトには感染しにくいとされるが、H1N1との交雑によって、感染力を持った強毒ウイルスに変化する可能性がある。5日、米専門誌「ジャーナル・オブ・バイロロジー」(電子版)に掲載された。 河岡教授らは、H1N1とH5N1の両ウイルスをイヌの細胞に同時に感染させ、増殖したウイルスの遺伝子を調べた。その結果、採取できた59個のウイルスの85%にあたる50個が遺伝子交雑を起こしていた。さらに、ウイルスの感染力や増殖力が強まる遺伝子交雑の組み合わせを想定し、人工的に作った交雑ウイルスをヒトの肺の細胞に感染させたところ、大量に増殖した。 季節性ウイルス(H3N2、香港型