日常的に多くの展覧会を観ているが、それらはその時、その場かぎりでどんどんと流れていって、まるで次から次へと作品を消費しているような後ろめたさを感じることがある。今回何を取り上げようかと考えたとき、強く心に残っているものがあった。それは展覧会ではなく、せんだいメディアテークで開催されている写真家・志賀理江子のレクチャーだった。 レクチャー風景 志賀のレクチャーは、今年の6月に始まり、来年の3月まで、10カ月にわたって全十回行なわれる予定である。第一回「イントロダクション:北釜へ」、第二回「コミュニティの中へ──宇宙人だった」、第三回「オーラルヒストリー──血肉の唄と言葉と身体」、第四回「触れない、触れられない──思い上がるなという警告の存在達」、第五回「写真は抗う──拾われた写真、この世の中の99.9パーセントの写真について」、第六回「イメージ①──過去・現在・未来から脱する空間への儀式(ゲ